この一週間で『NAGISA』(2000・小沼勝監督)と『本陣殺人事件』(1975・高林陽一監督)の2本の映画、さらにはNHKオンデマンドで「インド秘境 スパイス達人紀行 しゃく熱のラクナウ」(2023)を見た。それにしてもしゃく熱は「灼熱」と表記すべきじゃないかしら。
映画についてざっくりといえば、前者はロマンポルノの巨匠が濡れ場なしに撮った12歳の少女が主役のひと夏の物語。後者は中尾彬がヒッピースタイルの金田一耕助を演じた横溝正史物映画の走り。8月と5月を舞台とする今の季節に似つかわしくない映画だが、僕はそういうことはあんまり気にならない。
日本ビリヤニ協会の定義によれば、ビリヤニとは1.インドのバスマティもしくはビリヤニに適した米(ケララ州だとカイマ)を使用していること。2.フライパンで炒めていないこと(生米式〔ヒンドゥー式〕・パッキ・カッチのいずれかの作り方をしていること)。3.2種類以上のスパイスを使用していること。4.肉を使用する場合は豚肉以外であること。フライパンで炒めたやつは「うそビリヤニ」とすら呼ばれているようだ。
日本のインネパ料理店ではフライパンで炒めた米色の単一なビリヤニがよく出てくる。知識がなかった頃の僕はそれはそれでおいしくいただいていたが、今では上記の定義からはずれるビリヤニを積極的には食べなくなってしまった(ちなみに生米式でも米色は単色になる)。
ネパール人の経営するインネパ料理店に関する新書も一冊読んだのだが、彼らの多くがバグルンという土地の出身らしい。国土の大半が山岳地帯で産業が育っておらず、出稼ぎの多いネパールの中でもバグルンは貧しい地域のひとつだとあった。
ハイデラバード(ハイダラバード)というインド中南部都市のビリヤニが有名らしいのだが、「インド秘境~」ではラクナウ(ラクノー)にビリヤニ発祥の店があると言っていた。それがここだ。ほんとかなあ僭称しているだけなんじゃないのという気もしたが、調理法は無論本格的だった。こういうのを見ちゃうと余計フライパン炒めのビリヤニから遠ざかる。主要登場人物のシェフが「マサラ、マサラ」と連呼し、インドでも有数のスパイス市場を紹介した。
僕は台東区に居住しており、仕事柄区役所に足を運ぶ機会も多いが、たまさか付近にハリマ・ケバブ・ビリヤニというビリヤニの名店があり、ここのやつは店名にビリヤニを冠するだけあって非常にうまい。
アイリッシュコーヒーもジェイムソンやブッシュミルズじゃなく、スコッチウイスキーを使って作るとなんとかって名前に変わるらしい。そのへんもあんまりこだわらず、家にアイリッシュウイスキーがない時は違うウイスキーで代用するし、生クリームだって出来合いのものを加える。
ウイスキーといえば。村上春樹の小説にカティサークがよく出てきて、登場人物が瓶の意匠を褒める場面があったと思うが、僕も緑色のガラスに黄色い帆船のあのラベルが好きだ。捨てないで部屋に何本か空瓶が置いてある。

先般受験した中検2級の合否通知が届き、合格していた。これで今田美桜さんに報告できる。さて、中国語学習者のあいだでよく話題にのぼる中検準1級を受ける前にHSK6級を挟むか問題が眼前にゆらりと浮上してきた。HSKはほぼ毎月試験があるから、過去問をしばらくやって、しかるべきタイミングで受ければいい。中検と違い、HSKのリスニング問題は1度だけしか流れないのでそこを集中的にやろうと思いながら、西日暮里の雑居ビルの2階でアイリッシュコーヒーを啜っている。窓の外、目線の高さには日暮里・舎人ライナーの空中歩道がある。
