川、照り映えて

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

冬に近接して

明日から11月(と、書いた時はまだ10月だった)。雨の多い短い秋を通り過ぎて、もう冬に近接しているだろうか。東京に住んでいて厳しい冬を知らないからかもしれないが、僕は存外冬が好きである。何十年も前だが、常盤貴子が冬の朝の清冽な空気の中を腕を大きく振って歩くのが至福である旨発言していて、僕もその感覚に全面的に同意する。それはそれとして、雪国育ちの東京在住者がこの地の冬の方が寒いと言うのはなにかしら寒さの質が違うということか。これまた何十年も前に親しかった中越出身の女性は東京の寒さを「鋭い」と評していた。僕が感じるのは、東京の家屋(特に古い木造家屋)は防寒対策が講じられておらず、室内がかなり冷えるということ。仕事で自分の年齢よりはるかに年をとった木造家屋に足を踏み入れることがあるが、底冷えするような部屋がある。

先日、無錫出身の男性としゃべったが、中国も冬は南方の方が寒いと言っていた。北方の家屋はどこも厳寒対策がなされている。特に暖気(ヌァンチィ)というセントラルヒーティングが設備されており、室内では北海道みたいにTシャツ1枚でアイスクリームを頬張ばれる。

f:id:guangtailang:20251017191635j:image先日、仕事終わりに近所のスーパーで買い物をしていた。その店は小さい店舗だから、商品陳列棚の列と列とのあいだがかなり狭い。中腰で商品を手に取り、ためつすがめつしていると他の客の通行の妨げになる。東京はカートも押せないようなこういう店舗が多い。

70年配のじいさんが通路でなにやら独り言を呟いている。どんなことを言っているかまでは聞き取れない。呂律が回っていない。酒が入っているのか。この地域ではよくあることなので僕はそれを無視し、前方二つ目の陳列棚に向かった。そこには案の定と言おうか、中腰のサラリーマン風中年男性がおり、商品をながめていた。中年男性の後方をすり抜けるべく「すみません」と一声かけようと思うより先に、「………だよね?」と彼が体勢を変えぬまま言った。僕の動きは一瞬止まった。そして、少し考えた。男性がすっと立ち上がったので、僕はすり抜けたあと、「何か言われましたか?」とフラットに訊ねた。彼は不審と不思議の混ざった表情を向け、「何も言ってないよ」。いやー、僕は聞き間違えてないよ。はっきり発話していたし、他人に対する問いかけだった。ただ、こちらを振り返らずに言ったから独り言だったということか。紛らわしいな。このスーパーの客は店内で独り言を言わなきゃいけないのか。そんならこっちもそのようにやるけど。もっとも、独り言を言っていると他人から指摘されたこともないので、得意ではないかもしれないが。

f:id:guangtailang:20251017191629j:image10月の初め頃だったか、動画配信で『生きてみたいもう一度 新宿バス放火事件』(1985・恩地日出夫監督)を観る。桃井かおり石橋蓮司柄本明などが出ている。三者ともそれぞれに若々しい。僕にとって、ああ懐かしい思う風景がたくさん映った。終盤の東尋坊のあの旅館はもうないのだろうな。このドラマの元になった「新宿西口バス放火事件」は1980年に起こっており、和暦にすると昭和55年ということになる。昭和は遠くになりにけりと最近思ったのが、若い男性と雑談している時、彼はオウム真理教の「地下鉄サリン事件」(1995・平成7)を知らなかった。「…部屋ん中サティアンみたいにしちゃってて…」「サティアンて何ですか?」というのが端緒だった。

f:id:guangtailang:20251018142232j:imageトーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園のサツマイモのようなトンネル。

f:id:guangtailang:20251018142216j:imageあけぼの子どもの森公園から5キロくらいの場所にメッツァビレッジがある。ムーミンバレーパークは入場料が思っていたより倍高かったのと、Hさんがムーミンが何であるかをまったく知らなかったため、パスする。

f:id:guangtailang:20251022115448j:imageインド人がやっている店だったのだが、ランチメニューにビリヤニが見当たらず、チーズナンとかタンドリーチキンのセットを食べる。

さて、日本のインド料理店の多くは実はネパール人がやっているというが、インド人とネパール人、その見分け方は。ネパール人と一緒に働いたことのある中国語学習会のYも外見ではほとんどわからないと言う。強いて言えば、どことなく貧しそうなのがネパール人だと(失礼)。これまた学習会会員のZ曰く、ネパール人のやっている店にはヒマラヤの絵画や写真が飾ってある。また、独特の四角っぽい帽子を頭にのせていたらネパール人だ等。彼がまた言うには、インド人の有名な俳優のことはネパール人も網羅しているらしい。モモという餃子、あれはネパール料理だよ。

f:id:guangtailang:20251027083638j:image同業者の友人Pの妹Cとその彼氏Lが住む長生郡まで遠征する。というほどの距離じゃないが。当日は朝から雨で、千葉の田園地帯は霧にけぶって薄暗く、道に迷ってしまう。

f:id:guangtailang:20251028182114j:image小動物園のようなCとLの家で遊んだあと(50キロのミニブタに威嚇された。と同時に、ミニブタが賢い動物であることがわかった)、近所の道の駅に連れていってもらい、その後分厚い刺身を出す店で夕飯をごちそうになる。

帰り、まだ雨は止んでおらず、ほとんど灯りのない農道でまたも道に迷う。

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