川、照り映えて

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

七三一の日本人

まず往路の中国国際航空が羽田で乗ってから少しも動かず、機内で1時間以上待たされた。すると北京首都空港での乗り継ぎに影響が出る。アナウンスもないし、いつ飛び立つんだとやきもきした。ところが北京に着いてみるとハルビン行の便が1時間半の遅延で却って時間に余裕があり過ぎることとなった。しかも搭乗口が広大な首都空港の端から端に変更されて、ここまでですでに1万歩近く歩いていた。傍らでHさんが「だからやっぱりチュエンリーコン(全日空)がいいのよ」と呟いている。彼女は成田から杭州へ帰る時(またはその逆コース)、常にチュエンリーコンを利用するのだが、遅延はほとんどないらしい。僕は黙って、売店で買った鸡翅膀(ジーチィバン 鶏の手羽先)をかじっていた。

それと変なことがあった。北京の入国審査官はマスク越しからもわかる細面の、眉間に縦皺の寄った中年女性だったのだが、僕のパスポートと入境カードをじっと見つめて、30日を超えたらどうとかビザがどうとか、ハルビンに着いたらどうとか言う。わずか3日の観光滞在で何を言っているんだとこちらは思う。Hさんはすでに審査を終えたらしくブースの後方に姿が見えたから呼んだ。審査官は彼女にも繰り返す。Hさんも意味がわからないと言う。審査官はマスクに早口で、ブースのアクリル板も隔てているから、脇のHさんにはそもそも声があまり届いていないのかもしれない。わかりました、ハルビンで確認してみますと言って、通してもらえた。この一件をのちにハルビンでガイドに話し、2日目に公安の派出所に連れていってもらい、あくまで3日間の観光ということでハンコを押した証明書をいただいた。この時、派出所内には4人の警察官がおり、最初座っていたが、立ち上がると皆180センチくらいあった。ひとりは女性で色白の可愛らしい顔をしていたが、彼女も167センチくらいあった。ハルビン人の体格がいいというの周知の事実だが、今回訪れてみて再認識した。男性180、女性170はざらにいるし、見上げるような大男、アスリートのような180超えの女性もけっこう見かける。

f:id:guangtailang:20250722193123j:imageハルビン郊外平房区。もう10年以上前にここには足を運んだ。当時は殺風景で辺り一帯蕭蕭としており、観覧者も少なかったが、今回は新たに建築された陳列館に入るまでに長蛇の列ができていた。老若男女おり、アイスをかじっている子供やサングラスで音楽を聴いている若者など、これから罪証陳列館に入ることとの落差を感じた。

関東軍防疫給水部すなわち731部隊を巡っては日中双方、さまざまな立場・見解・主張・言説があるのは承知している。それについては今後もそれぞれに探求していくことだろう。ただ、日本人の僕が2025年7月19日午前10時に再びこの地に来た。その事実だけを画像で記録します。

ちなみに、もともとHさんがもっと後ろの旅程で考えていたにもかかわらず、僕がこの時期のハルビン行きを決定したのは、7月31日から中国国内で『731』という映画の上映が始まるのを知ったからにほかなりません。またぞろ反日の気運が醸成されるおそれがあり、「君子危うきに近寄らず」ということです。Hさんも映画の上映自体は知っていたようですが、自らが中国人ということもあり、当然に僕と同じ感覚では捉えていませんでした。陳列館に入る際に外国人はパスポートを提示しますが(現在は予約も必要)、なかなかの緊張感。

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f:id:guangtailang:20250722193102j:image このあと、同じ平房区にあるハルビンビール博物館に行った。そこではなんと観覧者は僕たちだけ。立派な施設なのに。順路の最後では無料でハルビンビールを飲める桃色の部屋があるのだが、グラス以外にピッチャーですごい量提供された。飲みきれなかった。カウンターに座る禿頭・眼鏡のおじさんは愛想がよく、この静寂に浸された博物館は今後もつづけてほしいと個人的に思った。

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