川、照り映えて

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

風の吹き抜ける場所をめざし

その日の朝、別に雨じゃなかったのだが、7時台にブルーベリー農園主からメールが届き、なり具合が良くないので多めにもぐようであれば一考してみてくださいとの内容だった。ベッドで横臥しているHさんにその旨伝えると、じゃあ予約をキャンセルしてと掠れた声で言った。

f:id:guangtailang:20250630122036j:imageそれでも僕らは小美玉に行った。他のアイディアが出ればそちらの方面に向かったはずだが、車中で全然別の話頭で盛り上がってしまい、小1時間話をこねくり回しているうちにクルマは常磐道をすらすらと進んだ。

いつかブルーべリー狩りのあとに寄ろうと思って、毎度腹が膨れているので寄らないままできた田園地帯の中にある洋菓子工房。けっこうな台数駐められる駐車場スペース有り。左手に滑り落ちるような大屋根の山小屋風建築が座っている。

f:id:guangtailang:20250630122026j:imageその後景。車外に出ると暑熱が身体にまとわりついてきて、Hさんは店内に到るまでの数十メートルでさえ日傘を開く。ただ、都心の陋巷と違うのは遮蔽物の無い空間を風が吹き抜けるということなのだ。澱むことなく流れ過ぎる。

地産地消を謳う米粉バウムクーヘン、クッキーなど買い物をして、カフェスペースで休憩。

f:id:guangtailang:20250630122033j:imageその後、やはりと言おうか鉾田の鹿島灘海浜公園へ。Hさんの所望したとびちゃんもちはひとつ残らず売り切れていた。並ぶイバラキングには目もくれずさつまいもや野菜(僕は流木でつくったらしい椅子)を買い、一旦クルマに積み込む。

大きく左にカーブした斜面を下り太平洋に到れば海からの風が吹いてきて、いきおい靴と靴下を脱ぎ捨て、ズボンまでは濡れぬよう裾をたくし上げ、波打ち際で遊ぶ。が、じきにズボンはびしょびしょになる。チャイルディッシュの誹りをまぬがれぬが、ほんとうはダイブしたいのだ。Hさんは貝殻を探して裸足に日傘で砂浜を横切っている。海というのは抽象的で、人間ぽっちが対峙してさまざなま感情をぶつけるが、すべて吞み込んで茫漠としている。波の轟音。それはなんとも気持ちがいいことだ。

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