5月初めの連休に妻の故郷である浙江省の諸曁、それから紹興、蕭山、嘉興などに行ってきた。写真もたくさん撮ったので、近々整理してここに掲載する予定です。
在日中国人や訪日中国人の横暴が世間で槍玉に挙がっているのは勿論承知しているし、僕自身もそれらの多くに問題があると思っているひとりである。ただ、中国人の場合、その人の基礎となっている地域と世代で立ち居振る舞いにかなり差があるという印象だ。
別に手前味噌じゃなく、浙江人の多くは穏やかでマナーが比較的良い。今回もそれを感じた。行った時期が向こうも労働節の連休でどこも人出がすごかったが、日本人に比べても遜色なくきれいに列に並ぶし、のべつ幕無しに騒ぎ立てないし、他人に配慮し、どこかしらみんな余裕があるように感じられる。こういう言い方は変かもしれないが、男性でも女性的な風を送ってくるような雰囲気の人がいる。やけに荒っぽいやつがいるなと思ったら北方の言葉遣いだったりする。以前、寧波を訪れた時、夜の老外灘を散歩していて、満ち足りた土地だなあとつくづく思ったものだ。
たこ飯を食べようと、ある日曜日にHさんと鹿島方面に繰り出したら、目当ての店が休みだった。湿り気を感じる車窓を眺めながら、彼女がここから鹿島灘海浜公園は近いのかと訊くから、近いよと答える。あそこの餅(とびちゃんもち。伊豆諸島から移り住んだおばさんが手作りするさつまいもが原料の餅)が食べたいと言い、そうくるだろうと思ったと一路北上する。
園内の店で餅を大人買い、さつまいもやはまぐり、葉物野菜も買い、その後行きつけの竹水で定食を食べ、また海浜公園に戻って、とびちゃんもちをぱくつきながら大竹海岸の方まで散歩する。
空も海もブルーグレーの階調の中、人びとが潮干狩りをやっている。遠くのひとはあわいの中で消えそうになっている。ごーお、ごーおという規則的で重低音の波が心地よい。Hさんがわたしたちもやりたかったーと嘆息するが、準備がないのでどうしようもない。
帰りの常磐道も事故渋滞でどうしようもなく、1時間半をロスし、晩飯の時間が大幅にずれた。そんな中、作ってくれたはまぐりのスープはうまかった。
思えば、ジャ・ジャンクー(贾樟柯)の存在を知らずにいれば、Hさんとの国際結婚もなかったろうし、僕の15年に及ぶ(この映画のように20年と言いたいところだが15年だ)現代中国への傾倒もなかっただろう。大同、奉節、珠海、そして大同。「在急剧变化的时代,努力保持着人性(急激な変化の時代の中にあって、人間性を保持しつづける)贾樟柯」。すでに一度劇場に足を運んだわけだが、今後の人生でも何度か見る映画だ。
嘉興海塩出身の小説家ユィフア(余华)が口にした「一直游到海水变蓝(海の色が青くなるまでずっと泳ぐ)」を題名としたドキュメンタリー映画を2020年にジャ・ジャンクーは撮っているのだが、全編見られる方法はあるのか。この度の旅行でこの海も見てきたが、ほんとうに青くない、コーヒー牛乳色だ。

