川、照り映えて

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

蕭蕭

f:id:guangtailang:20250212143815j:image好きな映画に『蜜月』(1984・橋浦方人)がある。山下洋輔が音楽を担当しているが、サキソフォーンの流れが都会の冬の光景に実に似合っており、蕭条とした中にぬくもりを感じてうっとりする。こういう雰囲気が好きだ。別に全編を見通さなくてもいいから、気に入った場面を何度も見直したい。ただ、若き佐藤浩市演じる主人公の村上哲明が関係を持っている暗黒舞踏の場面は、趣味的な理由で毎回飛ばす。

ところで、橋浦方人という人は3本しか長編映画を撮っていないのか。『星空のマリオネット』(1978)、『海潮音』(1980)、『蜜月』。どれも良作だと思う。『星空~』はたしか茨城の古河辺りが舞台で、故三浦洋一が主役を演じている。この人はそのリーゼントヘアーから、若い頃はサングラスとバイクの似合うアウトローみたいなイメージがあるが、愛知でも有数の進学校を出て早稲田の政経学部に入った(中退)というから一般のレールに乗っかって、すごく勉強のできる人である。

三浦の後妻が記した『桜の花が咲くまでは ──俳優・三浦洋一 食道ガンと闘った日々』(2001・三浦真理子)をいつだか読んだ。夫の病状が刻々悪化していく中、妻は横浜の教会でお祈りし、成田の病院へ夫に会いに行くということを繰り返す(自宅は日野だったか)くだりを印象深く憶えている。三浦の死は、病院から帰宅しようとしていた車中で知り、即座に引き返す。

Wikipediaを読んで初めて知ったが、三浦真理子も卵巣ガンで2018年にこの世を去っている。前述の本にはマタドールの恰好をしておどける洋一と著者、家族団欒の情景など、妻が提供した心温まる写真が何葉か載っている。

f:id:guangtailang:20250212143819j:imageいばらきフラワーパークの展望塔より東方、茨城空港霞ヶ浦を見晴るかす。石岡、小美玉、行方、鉾田。見えないものも地図が脳裡に浮かんでみている。冬枯れの園内は人も疎らで、ベージュの芝生の斜面に設えられたドッグランもがらんとしていた。

f:id:guangtailang:20250212143826p:imagef:id:guangtailang:20250213184259j:image今年の5月、コロナ前以来実に5年ぶりに浙江省紹興市諸曁市金山越府を訪れる。春節微信で繋いだ画面には、知った顔、知らない顔が次々あらわれ、いつ来るんだ、今年は来るんだろうと何人にも言われた。この5年のあいだに生まれた人間もふたり映った。

f:id:guangtailang:20250212143822j:image杭州蕭山国際空港へ。

guangtailang.hatenablog.com