川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

黄土高原

f:id:guangtailang:20241128091544j:image昨日取り寄せていると書いた路遥《人生》の原書が今朝届いていた。この小説はある時代のベストセラーらしく出版社を変えて何度か出ているようで、装幀も何種類かあるのだが、これは帯に马云(ジャック・マー)と贾樟柯(ジャ・ジャンクー)のコメントがあるので、選んだ。面白いことに縦書きだ。

中国語サークルのFさんに話の流れで、《人生》が若きジャック・マーを鼓舞したらしいと言ったら、「そういう成功譚はあんまり好きじゃないんよ」と思い込みらしく呟いたが、実際はそんな内容ではない。中国農村部、黄土高原に生きる若者が自らを拘束する农村户口(農村戸籍)により夢破れ、判断を誤る青春残酷物語である。窑洞(ヤオトン)という彼の地に特有の洞穴式住居が出てくる。実際にその家を見たことはないが、陈凯歌(チェン・カイコー)『黄色い大地』(1984)で見た。《人生》の冒頭を読んで、すぐにこの映画の映像が目に浮かんだな。

 

ジャック・マー

〈路遥は私に最大の影響を与えた。18歳の時、私は三輪車をこぐ労働者だったが、《人生》によって私の人生は変わった!〉

 

ジャ・ジャンクー

〈この小説を読んだ時、私はまだ中学生だった。その後の歳月で多くの作品を読み、それらは映画製作に大きな影響を与えたが、私の最大の助けとなったのは《人生》だった。この作品が私に社会に対する新たな認識を与え、人生について深く考えさせるきっかけとなった》

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