川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

非凡(庸)

f:id:guangtailang:20221029110054j:imageAと半年ぶりに会った。彼女の妊娠が知らされ、つわりがひどく寝てばかりいる、本業にも差し障りがあると聞いていたので、そこから月に1回程度具合を訊ねるラインをこちらから送るだけだった。返事は都度あったので繋がってはいた。Aの副業はレンタル彼女だったが、その痕跡はすべてきれいに消されていた。あれはたしか秋葉原のガード下の居酒屋だったが、その時に運営を通さず個人でお願いをして了承を得たので、ラインでふつうの友だちのように連絡して会っていた。ただ、レンカノ代はきちんと毎回支払っていた。それが上述の妊娠の告白で途切れた。

北千住のペデストリアンデッキにあらわれたAは相変わらず174の長身に少しのヒールを履いて、僕より目線が高かった。長かった髪は肩にかかるくらいになっている。ぺたんこ靴じゃないんだなと思った。白いセーターに白いマフラーを巻き、お腹はそれほど目立っていない。妊娠8ヶ月だという。ビストロオオカミは以前彼女とコース料理を腹一杯食べた店で、そこを予約したとラインで言ったら、思い出の店ですねと返してきたが、前日だったのでカウンター席になった。まあデートは横並びの方がいいという話もあるが。

相手の婚約者のこととか、Aの両親の反応、ライフステージの変化について彼女の考えるところなどまあいろいろ聞いたが、ここに書いてさしておもしろい話でもないだろう。つまり凡庸ということで、Aのような女性がレンタル彼女をやっていたという非凡(庸)に比べるべくもない。アラカルトでたのんだ料理は皆うまかったが、特にムール貝の出汁でとった〆のリゾットは美味だった。写真は水牛モッツァレラのマルゲリータ

TX沿線の駅近に戸建も買ったらしく、万事首尾よく進めているのだなと思った。一度ドライブで行った犬吠埼の話は多少盛り上がったにせよ、レンタル彼女時代のエピソードに対するAの反応は総じて薄かったと思う。完全に過去ということだろう。そして僕も(ただ、身重な躰でなお出てきてくれたことを考えれば、友人Sが言うように、特別な客であったとは思う)。

店を出て、ワリカンにしようとする素振りがみえたが、それはさすがにご馳走した。帰路、改札で別れる時、Aの後ろ姿を見てあらためて身重なのを実感した。手を振って会釈して遠ざかってゆき、かなりの距離からもう一度振り向き、会釈していた。それら動作がやはりお腹を庇っていた。

f:id:guangtailang:20221029110107j:image一応熊本の会社なんで、ともらったお菓子。以前に味噌をもらったこともあったな。

f:id:guangtailang:20221029110102j:image前回タッチパネルのことを書いたが、上野千里香で葱油饼(ツォンヨウビン)を注文する時押し間違えたらしく、倍以上の枚数が来た。まあMが锅包肉(グオバオロウ)とともに打包(ダーバオ 持ち帰り)したのでムダにはしていないのだが。

おとこの子おんなの子どっちなんだろうねとMに言われて、ああそういえば訊かなったなと思ったのだが、関心がないからその質問が思い浮かばなかった。関心のある事柄はほぼ訊ねたから。

f:id:guangtailang:20221029110057j:imageこの女M。非凡(庸)としか言いようがない。出会って1年8ヶ月、こういう言い方はちょっとアレだが、飽きることがない。僕も訊いたのだ。おれに飽きていないか?と。全然。ということで、あなたが僕に飽きていなくてよかった。