川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

薄毛、ままにせよ

オリンピックの野球日米戦が白熱しているのを、美酢(ミチョ)のカラマンシーを水で割って飲みながら観ていた。Hさんが来て、「日本は棒球(バンチュゥ)ほんと多いね」と言いながらわたしの後ろに回って首や肩を揉み始めた。ありがとう。これがなかなか力強いのだ。なされるがままである。それから頭部のマッサージに移行して、指の腹で頭皮を揉み込んだり、側頭部を両掌で締めつけたりする。これも気持ちがいいからなされるがままになっている。しばらくすると彼女はシャワーを浴びに行った。延長タイブレークから日本が劇的なサヨナラ勝ちをおさめ、ふとテーブルに目を転じるとわたしの毛髪が何本も落ちている。数えると7本だ。さらに衣服と太腿に1本ずつ付着しており、わかるだけで合計9本が抜け落ちていた。すでに薄毛街道を歩む身なので腹も立たないが、以後は頭部のマッサージは遠慮しておこうと思った。その後わたしも裸でシャワーを浴び、寝る前に濡れた髪を撫でつけて、洗面台の前で忌憚のないところを撮影してみた。地肌が露出して毛量が少ないのが一目瞭然である。髪の1本1本も元来細くて柔らかい。濡れた荒野を蛍光灯の明るさが残酷に引き立てる。さすがに不動心というわけにいかず、少しうろたえた。だから、洗面台から少し離れて撮ったやつは少し手ブレしている。思えば入院中も、白い枕に長短多くの毛がくっついていた。短い方が多かったから、育つ前に抜けるのだろう。毛髪を育成するサイクルが弱体化するとこのようである。お目汚しとしても、45の現状として記録しておきたい。ちなみに洗髪は毎日しているのでフケとかはありません。育毛効果を謳ったシャンプーをしばらく使ったが、効果はまるでわからなかったな。ええい、ままにせよ。

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