川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

京浜東北線

f:id:guangtailang:20210606203712j:image風と共に去りぬ』は第5巻も終盤421頁まで読んだ。読了したら引き続き『謎とき『風と共に去りぬ』』に移るつもり。壮大な話は結局、スカーレット、レット、メラニー、アシュリの4人に収斂していくんだけど、これはなんて言うか、圧倒的な小説です。5日午後、Mと会う。彼女が先に到着しており、マクドでチーズバーガーを買って、ひょいと道路にあらわれたので合流、真向かいのドトールでアイスのカフェラテとコーヒーも買う。並んで歩きながらふと考える。世の中にはサバサバ系女子という類型が存在し、ある時、試みにその特徴など調べたことがあるが、まあほとんど彼女に当て嵌まる。だから、Mと接する際にそれらを参考にしていないとはいえない。そうはいえない。しかし、この人、この私、の固有性というものがあり、それらは類型を超えている。世に数多いる45歳の壮年がサバサバ系女子の誰彼を好きになったのじゃない。この私がこのMを、ということだ。固有性が、固有な関係がおもしろいのであって、類型がじゃない。会えば会うほど類型など閑却すべきなのだ。

6日午前、Hさんは仕事で早々と横浜の鶴見に出かける。小雨がぱらついていたので、最寄り駅まで歩いて行ったようだ。私は椅子に立膝をつき、トマトジュースを飲んでいる。ジンビンドンベイシェン。京浜東北線の中国語普通話発音だが、西川口の事務所を拠点とする彼女はこの電車に乗ることが多い。また、ちょっと遠出をする際、この電車を基点に考えるらしい。だから、この発音はこれまでに何度も聞かされてきた。ジンビンドンベイシェンに乗って行けるのか。ジンビンドンベイシェンで上野から何分かかるのか。他方、Mも横浜のマンションまたは勤め先の病院からこっちに来る時に京浜東北線を使う。私はといえば、この電車に乗ることは普段ないのだが、先日、Mと一緒に乗った時、「ああ、やっぱり京浜東北線が落ち着く」と隣りで彼女が呟いた。「妙に落ち着く電車ってあるよね」と言われ、「うん、ある」と答えたが、私の場合、日比谷線で地下鉄なので、あんまりおもしろくないから言わなかった。リィビィグゥシェンというHさんの声音がよみがえった。

午後、なんとはなしに浅草に行く。自転車で。降ったりやんだりしていたが、人出がすごい。観光客っぽい若者をやたら見かけた。和装した恋人をアジサイを背景に撮っている男の白い細いアキレス腱。いちにんの私は墨田区に渡り、人気のない高速高架下でぼんやりしていた。夕方になって陽が射した。