川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

氷塊

f:id:guangtailang:20210129194017p:plainf:id:guangtailang:20210129194544j:image『バーニング・アイス 無証之罪』(2017・原題 无证之罪)全12話を観終えました。その回のエンディングが近づくたび、次回が待ち遠しいと思うほどおもしろかったです。中弛みなし。特に10話まで。ただ、11、12話は1年後の話であり、内容からいってスピンオフみたいんでええんちゃうかと思いました。10話で後味はダークでも完結している。その理由はあとでちょっと書きます。

その方面に詳しいわけじゃないですが、中国のドラマは全30集とか全50集(向こうでは〈話〉のかわり〈集〉を使う)とかざらにあって、そんなに長いのは個人的には観られんわけですが、これは比較的短くて良かった。大陸では北京や上海、広州なんかを舞台にしたドラマがやっぱり多いんですかね。そこもちょっと知りませんが、地方都市を舞台にしたドラマでオススメはこれです。こうゆうジャンルが苦手とか嫌いじゃなければ。まあ、地方都市とはいっても劇中で哈松市(ハーソン市)と呼ばれ舞台となっているハルピンは市区人口700万を超す大都市で、19世紀末に鉄道の敷設に伴いロシア人が建設した都市で、一風変わってますけれど。

凍てつく夜の橋脚の下の悲劇。このドラマの淵源ですね。ここから俄然話がおもしろくなっていく。ネタバレしない程度に私見を述べれば、このドラマは駱聞(ルオ・ウェン)と李豊田(リー・フォンティエン)ふたりのものなんです。性質上、警察(公安)が出てくるのは当然で、他にも上記相関図のようにいろんな人物がさまざま交錯はする。ふつうに観れば、郭羽(グオ・ユー)と朱慧如(ジュー・フイルー)、あるいは厳良(イェン・リャン)の物語なのかもしれない。にもかかわらず、このドラマで白熱した氷塊と呼びうるのは駱聞と李豊田のふたり。氷塊は最後、溶けるか砕けるかするんです。10話までがおもしろかった、11、12話は切り離された続編でいいとはこの意味です。 

ともあれ、冰城ハルピンがたっぷり映っているし、哈松公安局の建物内部や駱聞の部屋の美術も素晴らしく、それらも見どころになっています。f:id:guangtailang:20210130160655j:imagef:id:guangtailang:20210130165427j:imagef:id:guangtailang:20210130165417j:image30日快晴。風強し。北千住の大踏切を闊歩す。帰宅すると珍しくテレビが点いており、ファさんが山口百恵を凝視している。NHK山口百恵1980.10.5 日本武道館 引退直前 最後のステージ完全版」。ファさんが初めて〈日本〉を意識した、大陸における伝説のテレビドラマ『血疑』(1984・原題 『赤い疑惑 』1975〜1976)。その主人公である。

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