川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

灯台へ

f:id:guangtailang:20200817210639j:image晩飯時は風の谷のビールとハイボール、Hさんの残した梅酒を飲んだくらい。ただそのあと地下1階のゲームコーナーでエアホッケーを4試合やったら酔いが回った。それで部屋に戻るなり、ベッドに仰臥。焼けた腕を目の前にかざしながら、酒に弱くなっているなと思った。碧色の波と戯れた疲労も影響しているだろうか。目をつむる。やっぱり灯台に行きたいな。ぼくは岬とか半島の突端が好きなんだ。そこで道が終わる。その下は断崖絶壁だ。目の前にはただ茫漠とした空と海。来た道を引き返すしかない。といって、明日もう一度石廊崎に行くというのはないだろう。そういえば、御用邸も存在する須崎半島にも灯台があったはずだ。仰臥したまま、スマホで調べ始める。

f:id:guangtailang:20200817210714j:imageあまり寝つけず、早朝5時過ぎに起きてしまう。Hさんも似たようなもののようだ。パンツ一丁でバルコニーに出て、多々戸浜の日の出を眺める。波の音が優しく耳朶を撫でる。

f:id:guangtailang:20200817210730j:image朝食は8時30分からで、まだかなり時間があった。裸でシャワーを浴びると専用エレベーターで地下5階まで降り、そこから両翼のビーチに出られるので、まず入田浜を裸足で散歩し、そのあと多々戸浜でフリスビーを投げ合った。通路脇のゴミ箱に花火の残骸が積まれている。去年は入田浜側の部屋に泊まったからいきおいそちらばかり足が向き、今年は多々戸浜ということだった。ホテルは地形を利用して岬の突端に建つ。

昨日の晩飯の時にもいたが、朝食で後ろのテーブルに来た若人たちが誰も日に焼けて筋肉質の躰をし、爽やかな笑顔を持っている。フッカーがどうとか菅平がどうとか聞こえてきたので、ラグビー部だと知れた。ぼくがもし彼らと同年代の女子だったら、彼らの誰かの精悍な腕に抱かれたいと朝から変な空想が走った。

f:id:guangtailang:20200817210925j:image須崎半島の爪木崎。駐車料金いちにち1,500円で、ゆっくり遊んでいってよと商売っ気の旺盛なサングラスのおやじ。爪木崎自然公園の利用料を含んでいるのだ。ただ、クルマを降りると目も眩むような暑さで、すぐに躰中から汗が噴き出した。まだ午前10時過ぎだのに。灯台へ向かう道は南国のムードを醸し、虫の音(蟬?)が凄まじい。途中で有名な俵磯(柱状節理)が見られる。

f:id:guangtailang:20200817210934j:imageいかにも灯台へ向かう道。そして辿り着けば、何遮るものない海に突き出た場所に建つ灯台なのだ。すぐそばに天皇的别墅があるんだぜという呟きにも生返事で、Hさんは景色もろくすっぽ見ずに日陰に退散する。右の茂みの上を舞う蝶が写り込んだ。炎天下の灯台に来たこと自体、ぼくのエゴだったとしても。来た道を戻ると、もう他を廻る気にはなれなかった。胸の真ん中を汗がだらだら流れているのがわかる。

f:id:guangtailang:20200817210947j:image東伊豆の海岸沿いを北上し、小田原厚木道路、東名道で午後5時半帰宅。