三年生の時、「梨取り兄弟」という物語を学芸会でやった。ぼくはその中でもあまり目立たない沼の主をやった。沼の主とは龍に似ているナマズのような化け物でとても恐ろしい役だった。
ぼくの他に沼の主をやったのはN君とT君だった。
本番に入ってぼくはきんちょうした。だが、ぼくらの番はだいぶ後なので舞台裏で待っていた。しばらくしてぼくらの番に近づいたので沼の主の衣装をかぶって舞台のはじで待っていた。しばらくして太郎役の人がやってきた。ぼくはいきおいよくとび出して太郎を食べたふりをした。
次に次郎がきたけどまた食べたふりをした。
次に三郎が来た。ぼくらは三郎にやられる役だった。ぼくは思いきりはげしい動きをして三郎に倒された。
ぼくは目立たないようで目立ったなあと思った。
五年生の時、今度はシロべ物語という昔、昔の物語をやった。ぼくは代管(ママ)の家来をやった。家来の服装はヤリをもって円すいの平べったいようなぼうしをかぶり黒いズボンと標準服を着るのでとてもめんどうくさかった。
シロべ物語の練習は毎日やるので家に帰るとくたくただった。練習の時にはぼうしが何度もとれてとてもやりにくかった。
ついに本番だ。
スポットライトをあびてぼくらはかっこよく登場した。ぼくはこの役もあまり目立たないと思っていたのによく目立っていたようだった。
学芸会が無事に終わってよかったなあと思った。
ぼくにとってとても印象に残る思い出だった。(1988)