先日、カーナビが迷走した件について書いたが、近所の自動車整備工場に持っていき、それは直した。なにやらの接触不良だと説明され、代金は取られなかった。するとその晩、今度は書斎のデスクの置き時計がいきなり鳴り出した。鳴り出したといってメロディが流れるのだが、わたしは買った当初からメロディ機能はオフにしている。メロディは途中で止んだ。と思いきや、また別のメロディが流れ始める。それが変に途切れたりする。さらに別のメロディ。置き時計の先端を鷲掴んで裏返してみると、スイッチはちゃんとオフに合っているのだ。ちょっと不気味に思いながら、オンにしたりオフにしたりを数度繰り返し、再び置く。それが30分経つとまた鳴り出した。その時、ピューターのコップでウイスキーを舐めていたから、ビクッとして思わず顎まで垂らしてしまった。裏をみると、やはりオフに合っている。その時気づいたが、スイッチの脇にある電池入れの蓋にわずかにゼリー状のものが付着している。蓋を開けてみると電池が4本並んでおり(その下にも4本並んでいるはずだ)、上の3本の電池に白い粉状のものがたっぷり付着していた。盛大に液漏れしているのだった。これが原因なのかしらん。ティッシュでさんざん拭ってから上の4本を外し、時計の針は止まった。メロディも止んだ。しばらくはこのままにしておく。なんとなれば、深夜に鳴り出したらウイスキーが顎に垂れる程度の驚愕では済まないからだ。電池を外しているのにメロディが流れ出したら、それこそ鬼(グイ)の仕業だと断ずるしかない。わたしは洗面台で手を洗い、部屋に戻るとピューターのコップでウイスキーを舐めた。外ではじとじと雨が降っているようだ。梅雨の湿気で疫病が弱まると言っていた人も忘却の彼方。
翌日、昼飯を食べるため自宅に戻ると、テーブルの上に二锅头と油条2本が置いてある。そのうち1本は千切られたかかじられたかしている。わたしは呆然とした。まさかこれらが昼飯のはずがあるまい。そんなことはあり得ない。しばらくその場に佇み、ちょっとした新手のドッキリだろうと考えたわたしは徐ろに冷蔵庫を開けた。はたして中にちゃんとサラダと中元でもらったハム、西红柿炒鸡蛋(トマトと鶏卵の炒め)がラップに包まれて置かれていた。炊飯器には白米も炊かれていた。