川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

脣、叢、躰

雨のち曇り。終日蟄居。都知事選の盛り上がらなさが異様だが、昨日仕事のあいまに期日前投票に行ってきた。そんなことよりしかし、熊本南部の豪雨災害、こちらも豪雨による中国三峡大壩のすわ決壊かという事象の方に関心がある。日本のテレビニュースで後者はあまり取り上げられない。ダムが歪んでいるのを目視確認できるとか、識者によれば、肉眼でそれがわかるほどならすでに決壊しているという。詳細には知らないがしかし、三峡大壩は日本のダムとは比較にならない桁違いの規模のものだろう。長江流域には大城市が連なっているし、想像するだに怖ろしい。

湿気で躰がベタベタする。どうせなら、フライングディスクで汗をかきたい。先月下旬に関宿の叢でやって以来、円盤を手にしていない。「差不多了(こんなところでしょう)」のHさんの声でいつも投げ合いは終わるのだが、その日、声を聞いてから私の放った円盤はストライクで彼女の胸元へ飛んでいった。それをパンケーキ(両手で挟み込む)でキャッチした、と見えたが、彼女は取り損ない、円盤が顔に当たったようだ。脣に何度も手をあてがっている。寄っていって叢に落ちている円盤を拾い上げながら、彼女がぺっと吐いた唾の色を確認したが、特に赤くはない。脣をめくらせるとしかし、上脣の裏が切れて血が滲んでいた。

帰りの車中、腫れて喋りにくいのか、彼女は言葉少なだった。脣をめくり、手鏡を覗き込んでもいた。見た目ではわからないほどだが、しばらくフライングディスクはこちらから言い出さずにおこうと思った。

f:id:guangtailang:20200705154513j:image増永眼鏡は丈夫で緩まないから、蝶番の調整には一度も行っていない。いつのまにか手元にあるものは全部増永眼鏡になっていた。私の40代はここの眼鏡をかけながら過ぎるだろう。

f:id:guangtailang:20200705154729p:plain久々、『ベッド・イン』(1986・小沼勝)をFANZA動画で。ロマンポルノ後期の作。いわゆる「不倫モノ」で、小沼にしてはオーソドックスなと言おうか陳腐なと言おうか、瞠目するような場面も特になく、そりゃそうなるでしょうねという方向に物語は展開する。むしろ、脚本の荒井晴彦の趣味だろう、全共闘がどうとかゴダールがどうとかいう台詞の臭みが目立った。好みの分かれるところだ。

主演の柳美希さんは魅力的。顔はたぬき顔、躰はスレンダーで、「結婚しない女」を説得力をもって演じていた。他のロマンポルノには主演されていないのかな。

f:id:guangtailang:20200705154824p:plainブロックを積んで脚にしたテーブル。映画の半分以上でこの部屋が映っている。で、思ったのだが、1980年代初頭はインテリアなんかも70年代を引きずっている感じがするのだが、この頃になると80年代丸出しというか、シックと言おうか単調と言おうか、モノトーン趣味な感じになってくる。まあ、この部屋なんてまだマシな方なんだけれども。