川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

失策

f:id:guangtailang:20200620223747j:imageまた北関東に来た。ブルーベリー狩り。ここ2年くらいシーズンごと行っているファームが慎重派で、今時期もドライブスルー販売だけらしい。彼女はそれじゃ物足りない。正直私はそれでもいいのだが、新規開拓せざるを得なかった。結論的には小美玉の行きつけのファームがやはり良い。

f:id:guangtailang:20200620224516j:imageここから彼女と私の失策。霞ヶ浦で遊覧船に乗りたいという気持ちが私にあった。夏本番のような暑さで湖上は気持ちよかろうと、そのイメージが先走っていたのだ(ちなみに霞ヶ浦は水深が浅いので、夏場はアオコが発生して臭いという話がある)。途中の街道沿いで、手打ちそばの看板を見つけた彼女が昼飯を食おうと言う。ブルーベリーを50粒くらい食っていたのであまり空腹でもなかったが、まあいいかと思って手前の駐車場にクルマを突っ込んだ。その時すでに気づいたが、平屋建の店の入口に植物がやたら繁茂して、手入れしている気配がない。彼女が先に立って入店すると、不自然に足が止まる。後ろから覗けば、ひとつのテーブルの上が乱雑に散らかり、飲みかけのペットボトルやらゴミのようなものが載っている。店内を見回すと壁紙が派手に黄ばんでおり、こちらも長い時間手入れされていないのがわかる。虫が2匹飛んでいる。衛生的に大丈夫な店なのかと不安がよぎる。しかし、われわれの後ろの座敷には3人の男性客がいた。服務員の気配がないので厨房を覗くと、私と同年代くらいの男が天ぷらを揚げている。「どこでも座っていいですか?」と声をかけると、「どうぞ」と素っ気なく言うので、テレビ前のテーブルに座る。横の壁に日本のダンス&ボーカルグループ(Wikipedia)のボーカリストのカレンダーやポスターが貼ってあり、《カレンダーには絶対に触らないで下さい》という紙も貼ってある。癖の強さにだんだん鼻白んできた。この暑い日に茶の1杯も出てこない。ポットはあるのだが、セルフでやろうにもグラスが厨房の内側に積み上げてある。そのうち、3人の客に料理が提供された。彼女が奥のドアを開けて、トイレに行く。変な顔をして戻ってきた。われわれの料理が来る。茶も同時に出た。それは値段のわりにボリュームがあり、個人的にはおいしいと感じた。が、彼女は箸が進まない。私が彼女の分も食べる。そば湯を飲み、今度は私がトイレに行く。変な顔をして戻ってきた。トイレが汚いのだ。久方ぶりにここまで汚い飲食店のトイレを見た。

車中で聞いたところによると、店内の汚さ、極めつきはトイレの汚さですっかり食欲がなくなったと彼女は言う。たしかにそれは理解できた。霞ヶ浦のマリーナに到着し受付をすると、乗船客がわれわれしかいないのでこれになると、モーターボートに毛が生えたような船の写真を見せられた。以前乗った遊覧船を思い描いていた私の気持ちは一気に萎んだ。その場で断りはしなかったが、念のため彼女にも訊くと趣きがないと言下に退けられた。そのまま、クルマで石岡のフラワーパークに向かう。道すがら、土浦の寂れぶりがいやでも目に入る。栄華を誇った一時期がある街なだけに余計と。

f:id:guangtailang:20200620224445p:image朝日トンネル前で信号待ち。夏が溢れている。あなたの遊覧船の計画が甘く、時間を浪費したと言われる。

f:id:guangtailang:20200620224651j:image足利の時のような感嘆の声が彼女の口から漏れないが、こちらの方が何度も来ているし、われわれにとっては気楽というか落ち着く。人が多くないのもいい。芝生の斜面でフリスビーを投げ合う。ワムオー社のマックスコースターというリングのやつを初めて試す。コントロールがつきやすいし、めちゃんこ飛ぶ。フルパワーで投げたら、100mいくんちゃうかな。

f:id:guangtailang:20200620224705j:imageあじさいを見てのち、バラのジェラートを舐める。フリスビーでかいた汗で、首根っこを揉み合うとベタベタする。帰路、常磐道で事故渋滞に巻き込まれた。