川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

冷蔵庫

f:id:guangtailang:20200610102249j:image昨晩、裸でシャワーを浴びたあとパンツ一丁で読書していると、階下でHさんの大声が聞こえた。何事かなと私はゆっくり起き上がり、バーボンを舐め終わったグラスを片手に階段を下りていった。最近はアルコールを摂取するとすぐに眠くなってしまう。特に昼間動き回った日など、酒を飲みながら読書すると10頁も進まないうち倒れるように寝入ってしまうことがある。老いたわ完全に。そんな時、Hさんが「そんなところで寝てないでよ! 歯を磨いて、上まで来て、それから寝なさい」と叱咤するのだった。実際、ゴミ箱の横に伏臥していたり、本に涎を垂らしていたり、ひどい有り様なのだ。

彼女は浙江省にいる息子と話していた。横でしばらく聞いていると、こうゆうことのようだ(といって、方言も混じるから7割くらいの理解。微信で現物は見た)。数日前、金山越府のマンションの冷蔵庫が壊れた。それで新しいものをディンディンとシャオレイが相談して買ったのだが、それが今日部屋に届いた。置き場所は玄関を入った右脇。リビングの一角だ。銀色のかなりでかいやつである。以下、セリフ。そんな配置はおかしい。あんたたちだってそう思うでしょう。あれだけ事前にサイズは大丈夫なのか、厨房の入口は通るのか、念を押しておいたのに。これからふたり、いえ、さんにんで生活を営んでいくのに、この程度の事柄をスムーズに処理できなくてどうするの。ママ、とりあえずここでも不便はないと思うよ。あんたの頭はどうかしてる。冷蔵庫を開けるたびにお客が中を覗けるじゃない。それで食材をかかえて厨房と行ったり来たりするわけね。おかしいわ、動線も何もかもが。(ディンディン、沈黙)。その後、シャオレイに連絡するも不通。縦を横にしてなんとかできるような単純な話でもないんだろう。

朝、食卓。互いに寝起きのぶちゃむくれた顔で。昨日の冷蔵庫の件はどうなった? あれはでか過ぎるだろう。返品や交換はきかないのか。ディンディンが言うには、あさって業者が来て、なんとかして厨房の入口を通すみたい。それって、入口の方を壊すってこと? そうじゃないみたい。なんとか通せるって。ああ、そう(いや、壊すまでいかなくても、多少枠を削ったりするんだろう)。私は茨城で買ったつるつるのゆでたまごを頬張り、それ以上は何も言わない。そういえば昔、こんなエピソードがあった。

静岡県伊東市に移住し、個人事務所・荒井注事務所を自宅内に設置していた。伊豆でのカラオケボックス経営を考えたが、完成した建物の入口が狭すぎて機器を入れることができず、経営を断念した事がある。この件は話題となりワイドショーでも取り上げられ、レポーターに対し「何だ、バカヤロウ!」と往年のギャグを発した。なおこのカラオケボックスになる予定だった建物はその後廃墟化し、2020年現在も現存している。

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昨晩寝る前にちょっと興味深い話が聞けた。おぼろげな記憶らしいが、Hさんが幼少の頃、文化大革命で吊るし上げを食らった人を目撃したことがあるという。腕を後ろで縛られ、上半身を前に傾けた姿勢を延々とらされている映像が今でも浮かぶのだとベッドから起き上がって身振り手振りで。子供心に異様だったのだろう。1976年に文化大革命終結したことになっているが、その頃、日本で放映されていたのが、長じて彼女が夢中になる『赤い疑惑』(1975~1976)なのだ。しかし、なんでいきなり文化大革命の話になったのか。

午前零時頃就寝。

f:id:guangtailang:20200610195925j:image※あさっての予定が本日業者がやって来て、無事厨房の然るべき位置に収まりました。入口を削ったりもしていません。そんな野蛮なこと。では、どうしたか。冷蔵庫の扉を一旦全部はずしたらしいです。色は銀色というより、こうして見ると洒落めかしてスパークリングゴールドと呼んでもいいなんですね。