川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

花冷え

29日。雪。新型コロナとは関係ないような貌で降っているが、外出を控える気持ちが強化され、東京の人間にとっては関係ないこともない。どこかで鴉が鳴いている。雪は避けているのか。僕は三月中旬に生まれたのだが、今日みたいな日があると、三月の寒い日はやっぱり寒いのだなとあらためて思う。花冷えという言葉も浮かぶ。母親がよく言う台詞に、自分は夏の生まれだから寒さに弱いというのがある。年をとって余計言うようになったが、以前から言っていた。汗腺がどうとか、医学的には眉唾だろうし半分冗談なのだろうが、あんたが生まれた日は寒かったと彼女が言えば、僕が寒さに比較的強い人間ということなる。そうかも知れない。北の地方を冬だから旅行しないという人がわからない。本領の季節にこそ旅するべきと思う。ダウンジャケット(羽绒服)しか見かけない時期のハルピンにも何度か行って、凍てついた大地に滑って尻餅をついた(冰城)。軒先にぶら下がるつららの太さに驚嘆した(冰柱)。そこまでじゃなくとも、日常、冷気に頬を切られながら街路をさっさか歩く時は実に爽快だ。最近は寒さを厭うHさんのおかげで機会が減っているのだが。昔の三月は今以上に寒かったろう。しかし、上には上がいるもので、先日小旅行をともにしたJは僕などよりさらに寒さに強い。十二月の吹きっさらし、千住大橋駅のプラットフォームに外套を持たないスーツの上下で降り立ち、「まだコートなんて要らんやろ」とにやにやした彼の姿を今でもめざましく思い出せる。蛇足ながら、「三寒四温」という言葉は元々、朝鮮半島中国東北部の気候について言ったものらしい。今日は読書とDVD鑑賞。

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