川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

半島で馬跳び

雨。終日蟄居。『恋人たちは濡れた』(神代辰巳・1973)をFANZA動画で。このロマンポルノの有名作については一個思い出すことがあって、劇終盤、男女さんにんが砂浜で裸になりながら馬跳びを繰り返す場面があるのだが、大学時代、友人Kが唐突にその場面を示し、きみはこうゆうのが好きなんだろうと言われ、なぜか己の正体がめくられたような気恥さと心地良さの入り混じった気持ちになったことがある。あの感触は今でもよく覚えている。当時はまだロマンポルノの時代背景やら制作事情やらなにやらも知らず、童貞に毛が生えたような分際でロマンポルノの女優を呼び捨てに語っていた。

あのさんにんのどうしようもない不毛さ。馬跳び自体も不毛なら、それが半島のどんづまりで行われていることがさらに不毛だ。実はわたしの父方の祖母が勝浦の出身で、この映画の撮られた場所に馴染みがないわけじゃない。今でも親戚が住んでいる土地だ。長じてゆく過程でわたしは、千葉というが、この辺りは発展から取り残されたように荒涼としている、なんたって家からクルマで片道2時間半もかかる、東京に寄った市域や千葉市周辺とはまるで別世界だ、半島の僻地というのはそうゆうものなんだなあと強く感じた。父親に親戚のことを言うと、だから千葉人じゃないんだ、半島人なんだな。と際どくも冗談めかした答えが返ってきた。アクアラインが開通する前の話だ。つげ義春の描いた漫画がこの一帯を舞台としていたことは後年知る。現在、この一帯は行川アイランド(2001年閉園)から脱走・繁殖したキョンの一大棲息地だ。最近でいえば、新型コロナウイルス感染に関連して、武漢から帰国したチャーター便の客を一時受け入れたホテル三日月が有名。1973年といえば、父親が夏場、海沿いにある親戚の酒屋でアルバイトしていた頃だろうか。

f:id:guangtailang:20200308193204p:plainf:id:guangtailang:20200308193246p:plainf:id:guangtailang:20200308193329p:plainf:id:guangtailang:20200308193358p:plainf:id:guangtailang:20200308193437p:plainHさんに三八妇女节(国際女性デー)を指摘される。日本にはないんだ、と今年も同じセリフを返す。