12日朝。隅田川沿いのプロムナードに行ってみる。強風にフードをあおられ、薄毛や顔面に雨が降りかかる。いつもと違う何かしら生臭いにおいが漂う。土手の道でせ〇しの男とすれ違ったが、他に人は見かけない。
11日夜。颱風の接近しつつある静岡袋井でオーストラリア対ジョージア。日本人の母娘も雨合羽を着て見守る。
この日本製のヘルメットのように見えるのは、実況者によればオージーおじさんたちの手作りだという。
ジンバブエ第3の都市グウェル出身のデヴィッド・ポーコック。この試合のゲーム主将。凄まじい腕の筋肉。解説者は彼のジャッカルに注目してほしいという。183cm、100kg。
試合前から盛り上がるオージー。寿司もいいけど、やっぱり牛丼やラーメンが好きだね。え、ビールはまだ5杯目だよ。126kg。
うん、いい出来映え。ソフトな素材のようだ。ラグビーの試合で安全第一というのは気が利いている。
前半、スリッピーなコンディションなのにもかかわらず、両チームがキックを蹴らない。解説者がおもしろい言い方をしていた。これは「異常な試合」なのだと。ジョージアはフォワードに自信を持っておりそこで勝負したいから蹴らないが、自力に勝り攻撃のバリエーションも豊富なオーストラリアが敢えて蹴らないのは、予選プール2位突破を前提に、決勝トーナメントのイングランド戦を睨んでのことで、フォワードが比較的弱いとされるオーストラリアがジョージアと渡り合えるか試している。ゆえに試合は拮抗し、ロースコアで推移。
ジョージアのセカンドユニフォーム。背番号の上のワンポイントがかわゆらしい。
ジョージアが一矢報いる。後半はオーストラリアも蹴ってきた。雨は激しさを増すばかり。
終わってみればオーストラリアがしっかりボーナスポイントも獲得し、27対8で盤石の勝利。ティア1とティア2の実力はかくも隔たっている。だから、日本がティア1のチームを食ったのはやはりとんでもない番狂わせと言える。
スコットランドが明日なんとしても試合をやりたい気持ちは理解できるのよ。ティア1のチームがふつうに戦えばティア2には勝てるから。ただ、日本も今やティア1.5くらいの実力があるし、ホームの地の利もある。スコットランド陣営が強硬な主張を繰り返せば、よしんば試合が行われたとして、日本チームはプライドを賭してまさにリベンジの鬼と化すだろうし、日本人観客はスコットランドに好意的じゃなくなり、スタジアムの大半を敵に回すだろう(無観客試合もあり得るが)。とにかく、ハギビスが並じゃないわけだ。今夜、スコットランドのチームは裸で宿舎のベランダに立ってごらんなさい。どれほどのものかわかるから。声高に異議を唱えるのはそれからでいい。
ポーコック。漢の貌。
マイケル・チェイカ。レバノン系移民。英語、アラビア語、フランス語、イタリア語に堪能だという。
12日午後7時30分。外では嵐が吹き荒れているが、福岡で行われるアイルランド対サモアには影響がない。この3人を見るとアイルランドはやはり文学の国という気がする。知らんけど。
サモアのSiva Tau(福岡にて)を迎え撃つケルトの大男たち。あおり運転をしてイキがっている輩は彼らの前に放り出されれば失禁するのだろう。
今大会最後のSiva Tau(福岡にて)となった。解説者によれば、敗退したチームは即座に帰国するのだという。サモアは月曜日。
アイルランド不動の10番、ジョニー(ジョナサン)・セクストン。188cm、92kg。前半、あっさりと2トライするアイルランド。
危険なタックルをした選手がレッドカード退場で14人になってもほとんど関係なく加点していく。セクストン自らもゴールラインに飛び込む。サモアがかいなぢからで意地の1トライを返すが、解説者が毎回言うようにディシプリンが乱れ、そこをアイルランドにつけ込まれてしまう。
もう余裕の観戦。シャムロックのエンブレムも喜んでいる。
前半終了。26対5。右に座るのは元ラガーマンとして、左のじいさんはやや貧相に映るが、ラグビージャーナリストにして画家らしい。たしかに選手のあれこれに詳しいようだったが、いかんせん声が小さく聞き取りにくかった。元ラガーマンは明快にして滑舌も良い。この人が2007年W杯のカナダ戦で終了間際にコンバージョンを決め、同点に持ち込んだのだ。
結局、またティア1とティア2の実力差をまざまざと見せつけられる試合となった。47対5。そして、日本はよくぞこのチームに勝ったという感慨が湧いてくる。外では風がゴーゴー唸っているので見にいくと、ベランダの前の電線が2本垂れ下がり、暴風にあおられていた。幸い、建物や居室に異常は見当たらない。
花道をつくるアイルランド選手。これを書いている今は風も止み妙に静かだが、明朝以降、被害状況がだんだんにわかってくるだろう。遠くで救急車のサイレンが鳴っている。