川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

高楞の窓辺

4年前の今日。ハルピン市街地から東に236km、方正県そばの高楞(ガオルァン)という町に、小生はいた。この年の春節は1月31日に始まったようだから、15日には終わっていたが、正月気分はまだ残っていたし、当時のXの父親は退職していたので四六時中家にいた。

14日、ハルピンのターミナルからバスに揺られること3時間、方正県に到る頃には夕闇が迫っており、遠くの方で花火が上がるのがバスの窓からみえた。さすがの中国人も疲労からか誰一人喋る者はおらず、硬いシートに躰を預け、大半が目をつむっていた。

次の朝、小生が起き出してリビングに行くと、Xの父親がランニングシャツ一枚になり、棍棒で餃子の皮を伸ばしていた。小生をみて、にこっと笑う。早上好(ザオシャンハオ)とか早(ザオ)とかはない。こちらもにこっとし、窓際に寄って外を眺める。姿のみえないXの母親はとうに出勤したのだろう。Xは歳の近い親族の女と一緒にまだ眠っているようだ。こうして滞在中、暖気(ヌアンチィ)に温められながら、札幌より数等寒いこの町の一角を定点観測したのだった。

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