川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

燦という名の小狗

f:id:guangtailang:20190205165743p:imagef:id:guangtailang:20190205165754j:imagef:id:guangtailang:20190205165801p:image実家の前でマンション建設の大工事をやっており、音と振動が凄まじい。それで小狗がストレスのため、留守番のあいだに家の中を破壊してしまう。たしかに一匹ぼっちの時にガリガリ、ドスンドスンやられたら、事情が呑み込めないだけ余計に恐怖だろう。症状に名前をつければ、以前にも書いた「分離不安症」ということらしい。だから最近は両親がやむなく事務所に連れてくる。滅多に吠えることがないので、その点は有難い。

今日は珍しく私が燦を散歩に連れ出した。川沿いのグランドの裏手に長細いドッグランがあり、そこでリードをはずして遊ばせた。年齢はもう10歳のおばさんなのだが、バネの効いた機敏さに瞠目する。やはり猟犬が元なのだな。土の上を気持ち良さそうに跳ね廻るのを眺めていると、こちらも少しも飽きない。

ところで、柴犬に燦(さん)という名をつけることが奇特だという意見を当初頂いた。さんならさんとして、なぜこんな画数の多い漢字を使うのか、と。しかしこれには理由があって、この雌の柴犬の前にもやはり牡の柴犬を実家で飼っていた。もう10何年も前の話だが、この牡の柴犬が三太といった。3番目の息子という意味と、さんたという語呂が気に入って、母親がつけたのだ。三太は16年と数ヶ月生きた。そののち母親が極度のペットロスに罹り、彼女が風呂に入っていると、硝子戸越しに三太がすうっと通りがかったのがみえた、などと云うこともあった。それから紆余曲折を経て、燦が実家に来た。さんは無論、さんたから貰っているし、家の中が明るくなったので、太陽のsunにもかかっている。そして漢字で書く場合、三ではなく、太陽が燦々と降りそそぐ、という表現から燦の字を当てることにしたのだ。また、三太も燦も、母親はじめ「さんちゃん」と呼んで、2匹の柴犬の繋がりを感じているところもあるだろう。