川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

嘔吐

f:id:guangtailang:20180520121638j:imagef:id:guangtailang:20180520143653j:imagef:id:guangtailang:20180520121738j:imagef:id:guangtailang:20180520121750j:image大学時代の友人Y、Hと新宿で呑む。このふたりは元々東京や神奈川のダウンタウンに住んでいたが、現在は武蔵野地域在住で、ハズバンズだ。

珍しいという樽生ホッピーをぐびぐび飲みながら、赤ら顔のおっさんらの蘊蓄漫談とでも言うべきものが展開される。するとおもむろに、Yがバックパックから黒い本を取り出した。漆黒と呼ぶほどゴージャスな感じもない艶を消した黒の装幀、帯の端に小さな文字で題名、著者名、詩の一節などが配置されている。新宿のぎらついた陋巷の対極にあるストイックな本だと思った。Yによれば、東北の僻地に住む女性詩人の第一詩集で、その世界で知られた賞も取っているという。詩人はわれわれと同い年だった。そして、Yはある個人的な事情で、その詩人に会いにいったのだと熱っぽく語り始めた。そこから幕末の奥羽越列藩同盟の話に流れ、高杉晋作の話になり、そのあいだ各々の喉に樽生ホッピーが流し込まれた。

 最近の私は酒量をセーブしているのだが、この夜は相当飲んだ。久しぶりにふたりと会って、楽しかったからだ。壮年の衰えとして、泥酔すると記憶がところどころ飛んだりするのだが、それでも日暮里で降りたところまでは憶えている。常磐線がなかなか来ず突っ立っているうち、不快な気分が体内から起こった。私はプラットフォームの列を離れて、、このあたりの記憶が朧なのだが、駅前のロータリーをふらついた後、坂を上って裏側の人気のない場所に行き、嘔吐した。吐くのはいつ以来だろうとなんとなく考え、しかし前回嘔吐したシチュエーションは思い出せなかった。

そうして二日酔いでこれを書いているのだが、昼頃からかなり恢復してきた。食欲はまだない。窓の外はすこぶる天気が良いようだ。Hも昨晩、武蔵境と三鷹で嘔吐、Yは宿酔がドイヒーになってきたとラインがきた。