連休前の天気予報で、後半は崩れるようなことを言っていたが、関東地方は連日晴れて最終日を迎えました。
Hさんが新越谷に用事があると言い、特に予定のなかったぼくもついていきました。駅ビルの4階に椿屋珈琲があり、11時にちょうど開店したので、コーヒーと紅茶のシフォンケーキを食べて、彼女と別れました。さて、このあとどうするかなと考え、新越谷駅は武蔵野線の南越谷駅と徒歩で連絡していることを思い出し、このあいだ読んだ小説で吉川市の川の合流する描写が気になっていたので、ここからならすぐだと吉川を散歩することに決めました。
越谷レイクタウン、吉川と2つ目なので、ものの数分で着きます。駅からさっき電車で渡った中川沿いを北上する。吉越橋の下を潜り、さらに北上。気持ちのいい川風が吹く土手を歩きながらふいに思い出したのが、数年前に観た日活ロマンポルノの秀作『人妻集団暴行致死事件』(田中登・1978)の舞台が吉川・越谷だったこと。無論、劇中の町並みは開発前の昭和然としたものですが、川はそのままの姿で40年後の現在も流れているわけです。
小谷野敦『母子寮前』。
元荒川と古利根川が合流するというとたぶんここなのだが、なんと橋の架け替え工事中。隣りに申し訳程度の臨時の鉄橋があるが、やたら交通量が多い上に片側しか歩道がない。橋の上に立ってゆったり眺めようという期待が脆くも潰えました。
手前が元荒川、向こうから古利根川が合流してきて、クレーンの先がさっき土手を歩いてきた中川。
もう少しどうにかして眺めのいい場所はないかと、吉川市の側に渡って北上し、川沿いの住宅地の細道に入っていくと、30mくらい先に警官がぽつんと立っていて非常線も張られています。なんだろうと近づいていくと、左手奥に真っ黒に焼け焦げて原形をとどめない家屋が。それを見てはじめて思い出した。最近、ニュースでもやっていた吉川・越谷の連続不審火を。今、調べてみると、非常に狭い範囲で短時間に起こっているようです。
小説のなかで、主人公が思い入れのある川の光景を妻に見せようと連れていくと、梅雨空だったせいもあるが、「特にどうってことない、と言った」。まあ、関東平野って、そんなもんでしょう。