川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

曲げ反り流木

f:id:guangtailang:20170927164825j:plain稚内市浜勇知海岸。曲げ反った流木に打ちつけられた板に掠れた字で日本海と書かれている。晴れていれば風光明媚なのだろうが、曇っているとどこにこんな寂しい風景があるのだろう、と萩原朔太郎っぽく言いたくなる。稚内といえば宗谷海峡オホーツク海のイメージだが、ここは日本海に面しており、それが寂しさをいや増すのか。実際は日本海側が暗くて寂しいということも全然ないのだが。

井上靖の自伝三部作のひとつ『北の海』で、主人公洪作が能登半島の海を見て感動する場面がたしかあった。それまで伊豆や沼津の穏やかな海と接してきた洪作にとって、能登の波頭砕けるような激しい海は初めてであった。その時はそんなものかなと思って私は読んだが、海の印象ってその日の天気とか海外線の地形とかも大いに関係しているよな。

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