2014年9月23日、群馬県太田市藪塚、石切場跡。静まり返った切通しの小径を、岩肌に木洩れ日が当たってきれいだなあと思いながら奥に向かって歩いていると、ふいに気配を感じ、足もとに視線を移せば、細い、若そうな蛇がしゅるしゅると横切るところだった。さすが藪塚だ、と思わず笑みがこぼれた。
この1時間くらい前まで私はジャパンスネークセンターにおり、ボアコンストリクターを首に巻いて記念撮影したり、食堂でマムシの蒲焼を食べたりした。非常に一般受けをしない行動であり、勿論、私いちにんで行ったのである。蛇ばかりまなこに映る一日であったから、石切場で目の前を蛇が横切っても、なんの驚きもなかった。
現在、採石場跡で有名なのは宇都宮の大谷資料館だが、こちら藪塚は人気の無いかわりに蛇の出る野性味溢れる空間で、オススメである。木洩陽に関しては大谷資料館より上だし。後日、太田出身の同業の先輩に、石切場に行ってきましたよ、と話したら知らないようで、スネークセンター行ったんなら、温泉でも入ってくりゃあよかったんだよ、と苦笑された。
※白蛇観音(はくだかんのん)は、研究の犠牲となった蛇の霊を供養するために建立された。製作者は建畠覚造 元多摩美術大学教授。