川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

食べ物

コーヒーとパン

神戸の祖母は、わたしが今まで見た中でもっとも衰弱していた。施設の部屋にまず母親が入って、「あれ、いない。トイレー?」と呼んでいる。中から呂律の怪しい応答があり、後ろのわたしにも聞こえた。「電気消してるの。点ければいいじゃない」と母親がスイ…

ギリシャ型の趾

Tはリモートワークなのかな、会社に通っているような話もしていたが、ほとんど毎日喫茶店には行くという。2軒ハシゴすることもままある。カフェと言ってもいいのだが、僕と最初に行ったのが上野のギャラン、そののち丘だったからこれらはやっぱり喫茶店と呼…

紫のイルミネーション

22日夜。ミッドタウン日比谷にいた。ここには初めて来たが、都心らしい洒落た空間だ。時節柄人も多く、皆おめかししている。外は寒くてマスクの中で洟を垂らすほどだったが、こうやって見ると紫のイルミネーションはわりかし好き。同い年の女性と話したが、…

四合瓶

昨晩はあまりない出来事ですが、仕事で知り合った女性と高架下の店で飲みました。オミクロン株が世界で増殖している中、日本の現状はそれほどでもなく、師走のイルミネーションも華やいでいますし、この機を捉えて行きましょうよとなったのです。業界組織の…

アンチョビフィレ

昨晩、ウォーキングのあとにひどく腹がすいてしまい、Hさんが3階にいるのをいいことに、冷蔵庫の脇にある階段下の収納スペースからクラッカーの箱を引っ張り出し、中身を開けるとちぎったスライスチーズをのせ、その上にスカーリアさんのアンチョビフィレを…

同じメニュー、打包、そして猪に抱きつく

立ちっぱなしの試験監督員を終え、会場から駅までの坂を下る。徒歩だと10分以上かかる。雨はやんでいた。切ってあった携帯の電源を入れ、Mにメッセージを送る。この新駅の周辺は再開発の最中で、広い敷地がフェンスで囲まれ、クレーン車のアームだけが覗いて…

食卓

帰宅したらモモさんがいた。 僕が2階で着替えているあいだ、食卓に手際よく料理の器が並ぶ音、Hさんと彼女が上海語で雑談する声が聞こえてくる。お互い早口で声が大きい。下りていくとコップに氷を入れ、自家製梅酒を注ぐのが僕の役目。お喋りのやまないふた…

锅包肉をぶら下げて

Mは勤め先の病院を休んでいるという。そのあいだほぼ臥せっていて体重が4kg減った。ただでさえ瘦せ型なのにそこからの4kgはおれの4kgとはわけが違う。化粧もほとんどしていないが、顔の皮膚は青白く、目がいつも以上に大きく見える。病み上がりそのものとい…

ちゃんと苦く

Hさんは6日の午前中にモデルナの2回目を打ったが、その晩も翌日も強い副反応はあらわれなかった。体温も最高で36.8度まで上がっただけで、打った腕が重いのと少し頭痛がするという程度。8日にはぴんぴんして自転車で買い物に行った。ただ、その晩のウォーキ…

グィフ・イートイン

毎日スムースに排便できること、自転車に乗れること。痔核根治術を受けた後ではこれらが当たり前じゃないのだと常に肛門に感謝しています。ひとは誰しも躰のどこかを故障して、その状態が深刻であればあるほど、何も異常のなかった時のありがたみを知るもの…

淋しい九月

先月4日に来た時は真夏の照り返し。今日は白い空から時折小雨がぱらつく。モデルナに関しては連日異物混入や、2回目接種した30代基礎疾患ない者の原因不明死が喧伝され、なんだか不穏な中での接種となった。時間通り会場に着くと、わたしの接種を担当した人…

青と白と緑

この休日はHさんとその朋友のモモさん主導でどこかへドライブすることはあらかじめ決まっていたのだが、どこへというのは前夜にあなた決めなさいと言われた。わたしたちは外国人で詳しくないのだから。鍵の一件でモモさんには面倒をかけたから、彼女の行きた…

誘いに乗る

最近Hさんがつくる羊排汤がうまい。骨つき羊肉スープとでも呼ぶのか。ある夕、汗だくになって帰宅し、食卓に置いてあったこれを啜った時はちょっと感動した。暑熱に疲労した躰につるつるとスープが浸透する。勿論、肉にもかぶりついた。見た目ほど脂っぽくな…

いいいろのみどり

にちようび、かいせい。にゅういんしているあいだずっとろくじまえにおきていたのでいえでもそのしゅうかんでめがさめてしまう。ぼくがもそもそしていたりおしっこにいったりするからHさんもおこすことになる。かのじょはよるのいつかのだんかいでべっどとさ…

いつかナプキンをつける日

病院食はあれはあれで、退院したら鰻が食いたいと思った。朝7時起床。ほんとうは病室の習慣で6時には起きていたが、Hさんが隣でスースー眠っているので、仰臥して過ごす。夜中のうんこのあとはよっぽど頓服をのもうかと思った。9時半、肛門から出血しながら…

最後の晩飯

ここふつか夜寝つけなくて明け方にウトウトしていると、連続でおんなじ夢をみた。これは僕としてはきわめて異例だ。しかも目が覚めてもわりかし鮮明におぼえている。毎朝6時に検温と血圧をはかるのに看護師が来るのだが、その時に仰臥したまま内容を反芻して…

こんな梅雨の日に

仕事でミスって、そのカバーに錦糸町へ。自転車を漕ぎ出した時はほとんど降っていなかったが、いかにも梅雨らしく途中で本降りになり、折り畳み傘を差してもズボーンの腿がびしょびしょになった。まあこれは交通ルールに違反している。新しいクルマ─ランフオ…

この前の土曜日。新しくなった上野駅公園口でMと待ち合わせたのだが、定めの時刻直前にラインにメッセージが届く。眠ってしまい、乗り過ごしました。今、〈なみなかざと〉。これから引き返します、ごめんなさい。上中里か。いつも東京の東まで来てもらってい…

西瓜2

『風と共に去りぬ』は第3巻の78頁まで進んだ。その読書をする前に、Hさんとウォーキング。外に出ると雨がぱらついていたが、強くなったら引き返そうと決め、そのまま川沿いまで歩く。すると橋の袂で彼女がこのまま渡ろうと言い出し、僕らとしては珍しいコー…

西瓜

久しぶりに川の照りと言っていいものを撮りました。隅田川沿いの土手、ウレタン敷きのジョギングコースより。ごはん時に行ったからか、不思議に人がいませんでした。向かって左寄りのビル群は荒川区、川の向こうに渡れば墨田区、川に架かる橋の後方は足立区…

3日、4日。

3日、晴天。父親が山梨方面に華さんを連れて行きたいと中央道にのぼったが、案の定、地獄の渋滞に巻き込まれ、脊柱管狭窄症を患う母親がそれ見たことかと怒り、隣りに座る華さんもなんとなく同調、助手席のおれも後部座席のふたりに同調、3対1で勝負あり、山…

御徒町にて

夕方、華さんと御徒町で落ち合い、羊肉スープの店へ。カウンター席の端っこに座る。客は僕以外、中国語ネイティヴのようだが、やたらみんな眼鏡をかけている。外で買った飲料を持ち込んでもここはOKだ。女の子がフラペチーノみたいなのを飲んでいる。そうい…

100個の冷凍餃子を持って電車で移動する女性

去年から華さんのパスポートの有効期限が切れており、更新の手続きをすべきなんだが、現在、まずは中国大使館のサイトを通じてオンライン予約をしなきゃならない。この入力がけっこう面倒くさい上に、何度やってもうまくいかない。彼女は私に丸投げで、月曜…

私を羊肉スープの店に連れてって

今日こそ羊肉湯(ヤンロウターン 羊肉スープ)の店に連れてってくれるらしい。いやね、場所は御徒町だから別におれいちにんで行ったっていいんですよ。仕事でそっちに行く機会もあるし。ただ、この新しくオープンした店は上野広小路の例のきのこ鍋の店と経営…

假面をかむる

ある日。野暮用で都庁第二本庁舎に行く。晴れ渡っているが、風は冷たい。そろそろ花粉で目が痒い。大江戸線プラットホームへ下りてゆく深さ、これはTX線で秋葉原に行ったりするから慣れているが、車内の狭さにはあらためて驚く。現代日本人の体格からして…

変哲もなく

黒と白の誘惑。黒いぷるぷるにスプーンを入れた断面の美しさ。カーフェイジェリーとても言いたいけど、コーヒーゼリー言います。を外で食ったのは久しぶりだな。数十分の時間調整で、ぱっと目についたコーヒーショップに入る。市販された丸福珈琲店のやつを…

安全隐患

諸曁市(しょき-し)は中華人民共和国浙江省紹興市に位置する県級市。農業のほか、真珠の特産地でもある。真珠、榧、茶は「諸曁三宝」と呼ばれる。県内の「五泄の滝(五洩の滝)」は有名な観光地であり、境内の五泄禅寺(五洩寺、永安寺)は曹洞宗総本山の一…

「STORY」

ファさんの股間にモーラステープを貼る日々。16日に病院へ行って、経過は順調。ただ、完治までにはあと2、3週間かかるとのこと。松葉杖なしでも少しの距離は歩けるようになっている。ただ、そうすると太腿に炎症が起こるのだった。ちなみに浙江方言か別の言…

セロリ

日本海側は大変な積雪だが、こちらは安定した晴れの日がつづいている。ただ、東京は圧倒的にコロナの感染者が多く、行き来の多い隣接3県とともに緊急事態宣言再発令のただなかにあるのだった。だから誰もが閉塞を感じている。 抄太郎は北千住駅にいた。改札…

骨折の夢

23日午後12時30分。錦糸町にて漬け白菜と豚肉の炒め。壁に貼ってある写真では黑木耳(ヘイムアル・きくらげ)の刻んだのが入っているが、これをたのんで今まで入っていたことはない。黑木耳は家でよく食べているからまあいい。米の量を少なめにしてもらう。…