川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

映画

セロリ

日本海側は大変な積雪だが、こちらは安定した晴れの日がつづいている。ただ、東京は圧倒的にコロナの感染者が多く、行き来の多い隣接3県とともに緊急事態宣言再発令のただなかにあるのだった。だから誰もが閉塞を感じている。 抄太郎は北千住駅にいた。改札…

1976年の玉のれん

5日、昼。高校ラグビー準決勝第一試合をJ SPORTSで観る。僕は僅差で東福岡と思っていたんだけど、逆の結果でしたね。東福岡は東海大大阪仰星との激闘の疲労が残っていなかったと言えば嘘になるでしょう。ただ、京都成章のピラニアタックルを褒めるべきかと思…

チャック交換代

19日。ファさんとともに銀座へ。彼女のスーツケース及びワンピースのチャックが破損したとのことで、前者を新たに購入、後者の修理・交換を頼みながら銀ぶら。人は歩行者天国には比較的少なかった。なにしろ中華圏の観光客がいない。静かな街路と言えば言え…

ふたつの茅

寒い時期になった。日本海側では降雪がすごい。太平洋側と天候がくっきり分かれる季節の到来。夏や海のイメージが強い藤田敏八の『危険な関係』(1978)をFANZA動画で。二度目。読んだことはないが、ピエール・アンブロワズ・フランソワ・ショデルロ・ド・ラ…

THE VANISHING

1ヶ月以上かけて失踪の学問的な書物を読了する。示唆に富み、おもしろかったが、いろんな概念を駆使しながら論証を積み重ねていく形式や、迂回にもみえる章立てもあり、ややまどろっこしさを感じた。晦渋にしているつもりはないと思うが、文章としてもうちょ…

烏の濡れ羽色’71

父親の昔話。以前にも言及したことがあるが、私の父方の祖母は勝浦の出身である。それで父親が大学生の夏休み─今から半世紀も前のことだが─に興津の親戚の家にアルバイトに行っていた。海沿いのその家の庭はかなり広く、海水浴客の駐車場として終日500円で貸…

きつい

『青春の殺人者』をDVDで観る。大学時代に観て以来。動画配信でも観られるのだろうが、それには「『青春の殺人者』という事件の現場」という樋口尚文による長谷川和彦へのロング・インタヴューや、「キネマ旬報 1977年2月下旬決算特別号「決算号特集Ⅰ 中堅・…

雨のステイション

16日、晴れときどき曇り。 過日、海老名SAで買って食った鯖寿しは残念だったが、ここ若廣のものは嘘がない。端っこのをつかみ上げてもちゃんと肉厚。味道も無論申し分ない。日暮里で購入したのだが、時間が遅かったので焼き鯖はなくなっていた。それで今回…

70年代釧路

日活ロマンポルノ『さすらいかもめ ―釧路の女(ひと)―』(1973・西村昭五郎監督)をDVDで。神経が疲弊しているため感想もろくに書けず、ほぼ映像を羅列するだけになってしまいます。70代初頭の釧路の街や港、阿寒湖のアイヌコタンが見られたことで、気分転…

壮年の倦怠 ─80年代初頭─

28日。80年代映画の企画上映、今日で終わった。5本観たら1本無料になるからそのつもりで観ようと、スタンプカードももらって意気込んでいたが、数日前に熱中症の初期症状を発して、断念せざるを得なかった。 外回りに午後を費やし、事務所に戻ると妙に躰全体…

脣、叢、躰

雨のち曇り。終日蟄居。都知事選の盛り上がらなさが異様だが、昨日仕事のあいまに期日前投票に行ってきた。そんなことよりしかし、熊本南部の豪雨災害、こちらも豪雨による中国三峡大壩のすわ決壊かという事象の方に関心がある。日本のテレビニュースで後者…

夜よ、濡らして

13日夜。デスクに向かい三浦哲郎『おろおろ草紙』(講談社文芸文庫)を読んでいると、外で男女の諍う声がする。女が、あんたは自分のことしか考えてないのよと言い、それに対して男がもごもご返している。障子を少し開き、前面の狭隘道路を覗いてみると、女…

青空美容院

二三日前。晩飯を食べ終わり、隅田川沿いを浅草方面に向かって散歩する。こっちは久々に来たが、ブルーシートの段ボールハウスがかなり減った印象。それでもHさんは讨饭的人(タオファンダレン)に妙に興味を持つ。以前、餓死しないのかと心配げに言うから…

ピンチヒッター

自宅の面した狭隘道路に居ついているキャットを撮影。しゃがみ込んで、コロナの現在状況を知ってますかと訊くと、首を少し持ち上げた。 近所の精肉問屋が最近弁当を売り始めたので、試しに買ってみる。Hさんは中国人のご多分に洩れず冷めた米は食わない。 1…

連休中の本と映画、それは満洲とロマンポルノです。

何日か前、ツイッターで目にした記事で、長野県が県外ナンバーのクルマの実態調査に乗り出しているというのがあった。写真が載っており、背に「長野県建設部」とある赤いベストを着た職員が、道路脇のパイプ椅子に座って往来を走るクルマを監視している。連…

サキ、導かれて

『妖精の部屋 天使が濡れるとき』(1977・加藤彰)をFANZA動画で。下に見るようにタイトルに相違があります。ソフト化する際に変更があったようです。内容的に「16歳」じゃ、ちょっとマズかったのかも知れません。現在なら無論アウトなんでしょう。だからと…

3万円で

20日夜。宮井えりなさんが見たくなってしまい、『女教師 汚れた噂』(1979・加藤彰)をFANZA動画で。「女教師もの」なので、学園を舞台に高校生が出てきてわいわいやるのかと思いきや、がらんとした冬休みの学校で教師の素振りも見せない、ひとりの女の転生…

仮面と虜囚

19日晴天。運動不足解消に川沿いの土手を歩く。昨日の大雨で水嵩が増して黄土色に濁っており、ちょっと迫力ある景色。舟山の海のようだとHさんに言うと、しばらく見つめてからそうだねと同意した。川風も吹いているし、安全性が高いという判断なのか、かな…

美しく青きドナウ

18日豪雨。べランダのトタン屋根を雨が激しく打つ音を目覚めてからもしばらくベッドの上で聞いていた。午前中『あそばれる女』(1981・小沼勝)午後『昼下りの情事 古都曼陀羅』(1973・小沼勝)をFANZA動画で。観終わった頃にちょうど雨も止んだ。どこかで…

バイシクル・チェイス

たとえば週末クルマで出かけSAにも道の駅にも寄らず(または必要最低限で済ませ)人気の無い山や海へ行き気分転換して帰ってくる分には感染リスクは非常に低いだろうと考えてみる。ただこの状況下でそれを実行した場合道中足立ナンバーじゃねえか何出てき…

黄璐

『中国娘』(2009・郭小橹 原題 She, A Chinese 中文名 中国姑娘)をDVDで。観ていて思いましたが、主演の黄璐(ルー・ホアン)の顔が良いのですね。化粧っ気もなく、ともすればふてぶてしい面構えですが、純真を秘めており、それが見え隠れする。女性に面構…

非情の世界

『迫り来る嵐』(2017・董越)をDVDで。原題『暴雪将至』。まあ暗い映画だわね。画面の色調もそうだけど、ほぼ全編どしゃ降りの雨だし、後味の悪い結末が用意されているし。でも、そうゆう暗鬱なトーンで押していって最後までちゃんと観られるのは、ロケーシ…

花冷え

29日。雪。新型コロナとは関係ないような貌で降っているが、外出を控える気持ちが強化され、東京の人間にとっては関係ないこともない。どこかで鴉が鳴いている。雪は避けているのか。僕は三月中旬に生まれたのだが、今日みたいな日があると、三月の寒い日は…

隅田川のピクチュア

『順子わななく』(武田一成・1978)をFANZA動画で。この監督はロマンポルノを超えてもっと知られていいと思うのだが、Wikipediaの頁もつくられていないし、FANZA動画やDVD等で観られる作品もそれほど多くはない。好きな監督だけに残念なことだ。最近、阿佐…

梢というサディスティック

13日の金曜日。夜。昨日観た『団地妻 ニュータウン暴行魔』(磯村一路・1987)は酷かった。あの手の主題であれば、アダルトビデオにもっとすぐれたものがたくさんある。なにせ主演の女優に魅力がない、演技ができない、喘息のストーカーに魅力がない、羞恥プ…

1986年の女性プログラマー

10日夜。外は雨がびしゃびしゃ降っている。『いんこう』(小沼勝・1986)をFANZA動画で。「日活ロマンポルノ最後の看板女優」(Wikipedia)という呼び名に魅かれ、麻生かおりの主演作を初めて観る。【以下、ネタバレあり。役名では呼ばず、俳優の名で呼んで…

半島で馬跳び

雨。終日蟄居。『恋人たちは濡れた』(神代辰巳・1973)をFANZA動画で。このロマンポルノの有名作については一個思い出すことがあって、劇終盤、男女さんにんが砂浜で裸になりながら馬跳びを繰り返す場面があるのだが、大学時代、友人Kが唐突にその場面を示…

神戸1981

ああ、目が痒い洟が出る。『風の歌を聴け』(1981・大森一樹)をDVDで。2回目。原作はとうの昔に読んだのでほとんど覚えていないが、映画とそれを比べようとか思わない。ただ、昭和50年代半ばの神戸というと、幼い私や弟が両親に連れられてしょっちゅう祖母…

触知

5日。『こおろぎ』(青山真治監督・2006)をDVDで。西伊豆の安良里が舞台。地図で見てもわかるが、この港は駿河湾から深く切れ込んで、周囲を山に囲まれ、いかにも天然の良港という感じ。西伊豆は去年ドライブしたが、断崖にへばりついた狭隘道路を上ったり…

欠落

8月に観たものを12月30日に書く。9月下旬から11月の頭まではラグビーW杯に没入したこともあり、対スコットランド戦の日本のトライシーンはめざましく思い出せるのだが、このTVドラマは記憶が曖昧になっている部分も多い。かといって、今もう一度観直す気力は…