川の照り

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

その他

岬①

日・月、伊豆下田で遊んだ。数日前にホテルを予約し、それから天気予報とにらめっこだったが、毎日微妙に予報が変わるので困った。で、当日朝、東京は雨がぱらついていた。しかしそれもすぐに止み、半島を南下している頃には雲間から陽が射し、南国の蒸し暑…

談話室へ

エスカレーターを降りた先の階段で老人が立ち止まって息を整えているので、鶴岡抄太郎は脇を通り抜けていった。すると老人のちっという舌打ちがかすかに聞こえた。自分の方が先だったのに若造が順番を追い越し入店するのかと思ったのだろう。しかし鶴岡にも…

途上

1980年代前半の山崎努を見るべく、「松本清張シリーズ・けものみち」(1982・演出 和田勉、脚本 ジェームス三木)をNHKオンデマンドで。主演は名取裕子。20代半ばで、ほぼ実年齢を演じている。当時、仕事上でトラブルに陥っていた名取に和田が直接電話して出…

ティエトウの来歴

午前8時30分、事務所に到着。友人Jのティエトウがすでに道路脇に駐まっている。助手席に乗せてもらい、始業まで荒川区のニュータウンを15分程ドライブした。梅雨の晴れ間で、開け放たれたウィンドウから気持ちの良い風が入ってきて僕らの髪をなぶった。 テ…

東の果て(長崎鼻)

12日、晴れ。鶴岡抄太郎は外川町にあらわれた。自宅から130km、千葉の東の果て、犬吠埼の南側にある漁業を営むこじんまりとした町だ。窓を開けながら海沿いを走っていると、銚子ジオパークの看板が目に入り、犬岩という名に惹かれて脇道にクルマを突っ込んだ…

ハチマキボーイの系譜

JR成田駅の方角を眺める。数日前よりHさんが感冒にかかり、咳嗽が止まない。寝ているあいだもごほごほいっている。それで毎食後処方された薬を飲むのだが、本人が袋の日本語指示を読む気がないので私が錠剤を並べ、お湯を準備する。回国するのにこんな体調に…

山東省生まれ、茨城育ち

14日。鶴岡抄太郎はアリオ亀有にあらわれた。東京の桜は散りつつあるが、暖かいともいえない少し風の強い日だ。彼は緑色のゲームジャケットにリュックを背負い、広場をぐるり見渡すと、キッチンカーの店でよだれ鶏と米、青島ビールの缶を購入した。四川祭と…

チャイナタウン(2日目)

朝、カーテンを開けると快晴。港湾を飛ぶ鳥。正面に鎮座する氷川丸。山下公園をジョギングする人々。だが、鏡に映る壮年の顔はぶちゃむくれている。昨夜、塩分の摂り過ぎかも知れない。 新館5階で朝食を食べ、時間を見計らってチェックアウトし公園を散歩す…

チャイナタウン(1日目) 

この世にまろび出て43年が経過した日の記念にHさんと横浜へ泊りがけで行ってきました。とはいえ動いた範囲はそれほど広くなく、ホテルと公園と中華街を行ったり来たりしていただけです。 元町に至ると人だかりができていたので何かと思ったらセントパトリッ…

魚香という謎

昼、行きつけの中国料理店で鱼香肉丝。酸味が少しあって青椒肉丝よりも好み。魚とつくが魚の入っていない四川省起源の料理。鱼香茄子も有名。これらも最初は雪駄を履いたエスイーことJに教わったのかも知れない。なにしろ彼は当時、中国八大菜系を念頭に「悠…

陋巷

最近、ひょんなことから立派なキャビネットを譲り受け、事務所の2階に置くこととなった。整理した書類を内部に収納し終え、遠目に眺めていると、キャビネットの上が少し寂しい。何か飾ろうとごそごそやっていると、父親が昔に中国のどこかで買ってきたらしい…

河口湖

12日、晴天。 昨日、あまり考えもせず、ホテルの駐車場の日陰に駐車したのだが、午前9時45分、出発しようとするとフロントグラスが霜で曇り、ボディも薄く凍結していた。周囲を見渡すと、ほとんどのクルマが日向の方に駐まっている。普段、寒冷地で生活して…

山中湖

11日。朝、東京は雪が降っていた。午前10時に山中湖へ向け、出発。往路は東名を使う。雪はすぐに止んだが曇天で、富士山を臨める場所まで来ても、手前に雲が湧いていて部分的にしかみえない。1日だいたいそうであった。だから下の富士山は12日の朝に撮ったや…

燦という名の小狗

実家の前でマンション建設の大工事をやっており、音と振動が凄まじい。それで小狗がストレスのため、留守番のあいだに家の中を破壊してしまう。たしかに一匹ぼっちの時にガリガリ、ドスンドスンやられたら、事情が呑み込めないだけ余計に恐怖だろう。症状に…

クリーピー

いくら髪をセットしたところで今日の風ではなぶられるよ、斜向かいの工事現場の養生シートが音を立ててびらびらめくれるのをみながら、Hさんにそう云おうと思った。 午後12時半、新橋の沸騰漁府にて酱牛肉、干煸四季豆、酸菜鱼の3品プラス米饭。帰り際、レジ…

福建喫茶

純喫茶としてネットでもけっこう取り上げられている店だが、今日初めて入ってみると、もはや純喫茶ではなかった。地元だけに店の前は頻繁に、それこそ2日にいっぺんくらい通るのだが、外から店内を窺い知れないつくりなので、ネットに載っている画像をみて、…

立ち漕ぎ

3日、晴天、風強し。年明けから尾籠な話になるが、2階の便所で『細雪』を読み進め、大水害(1938)のくだりまで来て、これは去年の倉敷真備町の光景を思い浮かべるような描写だなと思いつつ、用を足した。と、しばらく収まっていた痔核の脱出がまたぞろ始ま…

殺風景

幼少の頃、家族そろってクルマで東京駅の地下駐車場に潜ることがあり、駐車したのち父親の先導で八重洲地下街への階段を上った。時間帯は夕方とか夜だったろうか。どこかに行った帰りだったかも知れない。コンクリートの殺風景な階段空間から鉄の扉を開ける…

キャンパスノート

引っ越し後の片付けをしていると、謎のノートが出てきた。キャンパスノートに別のノートに己が手書きした文章のコピーを貼り付けるという奇妙な行為の記録である。読むと谷崎潤一郎の小説或いは谷崎に関する批評文を筆写したものだ。繰る頁、こんなのが延々…

長椅子を運べ

長椅子を運べ、とHさんの命令が下り、新居からクルマを取りに行き、マンション前に廻し、7階からえっちらおっちら運ぶ。重くはないが、いちにんで運ぶものでもないだろう。着替えてさえいないから、スーツにコートのままだ。1階でエレヴェータを待っていた人…

有馬温泉にぽろりんと

Hさんの在留カードの更新申請の許可がやっと下りた。私の住宅ローンの融資実行(残金決済)も7日に決まった。6日に金消契約、抵当権設定等諸々の手続きをぼろりんと行う。金利は当初私が要望していたよりやや高めだが、致し方あるまい。年明けの神戸行の新幹…

到来

市田柿の季節到来。3枚目「JAみなみ信州サイト」より抜粋。 Hさんの在留カード更新申請の結果はまだ下りてこない。事情に明るい行政書士に訊くと、今時は1箇月ちょっとかかるんじゃないかしらと言う。私の住宅ローン審査は担保評価が低いものの、まあ大丈夫…

山房のバショウ

4日、曇り。蒲田に用事のあるHさんが早々に出かけ、私はパジャマのまま本棚の整理。棚の違う場所からまたぞろダブり本があらわれ、苦笑いする。午後、簡単な麺の昼飯を済ませ珈琲を飲んでいると、ようやっと昨日の疲労が抜けてきたように感じ、終日蟄居する…

通俗的な街で、

通俗的な街でレッスンまでの1時間を過ごす。人口42万余のベッドタウン(衛星都市)、国道16号線文化都市。ターミナル駅周辺はひととおりなんでもそろっており、生活するのに困らない。カンファタブルといえばそうなのだろう。地方都市で駅前がこれだけ賑わっ…

ダブルデッキにて

【千葉県柏市の柏駅東口にあるペデストリアンデッキ(日本で初めて作られたペデストリアンデッキ)は、「ダブルデッキ」と呼ばれている」】。Wikipedia 午後6時40分。ダブルデッキより夜空に白亜を浮き上がらせる閉店そごうを撮る。回転展望台の内部にわずか…

今年第21号

午前8時半頃。自宅附近はさほど風なく、雨は降っていたので、モンベルの撥水の上下を着て出勤した。その後、一時的に風雨が強くなったが、昼頃には青空も見られた。東京は台風の気配を感じるものの、今のところ妙に静かだ。一方、西日本では、台風21号チェー…

河北 〜いきむく壮年

大陸から帰ってきて、また中文教室に通うことに決めた。なぜそういう気持ちになったのか。ひとつは、今回、向こうでHさんの親類縁者と交流してみて、あらためて会話力の向上が必要だと感じたこと。もうひとつは、週一でも習い事に通って、のんべんだらりと過…

ユートピア

明け方に変な夢をみて、事務所に来てからも引きずっている。まあ、夢で変じゃない夢はないのだが、それにしても妙なリアリティがあったので、夢の断片を思い出し、あれこれと詮索してしまうようなことです。 すでに数年を大陸(中国)で暮らしているおれが、…

燈台へ行く道

2011年8月29日、横須賀市。当時の人口42万弱、現在は40万を割った。かつて、日活ロマンポルノの一作、『横須賀男狩り 少女・悦楽』(藤田敏八監督/1977/77分)が撮られた。なんか先々月くらいにDVD化されていたな。おれはDMM.R18(現FANZA)で観たけど。この…

千葉市ゆかりの家・いなげ

台風一過、四方どこを見上げても入道雲がもりもりと湧いている。気がつくと、千葉市稲毛区の水路沿いを歩いていた。早くも額から汗が垂れてくる。念のため書いておくと、今や都道府県のうちで人口が増加しているのは6つか7つに過ぎないのだが、千葉県はその…