川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

潜り抜けて

29日夜。対面し、それぞれの文章を読む。Hさんは仕事の何か、私は「蘆刈」(岩波文庫『吉野葛・蘆刈』所収)。 こっちは『猫と庄造と二人のおんな』の注解(新潮文庫)。谷崎が『源氏物語』の現代語訳をやっていた時に唯一書いた小説。女優の本上まなみが薦…

クリーピー

いくら髪をセットしたところで今日の風ではなぶられるよ、斜向かいの工事現場の養生シートが音を立ててびらびらめくれるのをみながら、Hさんにそう云おうと思った。 午後12時半、新橋の沸騰漁府にて酱牛肉、干煸四季豆、酸菜鱼の3品プラス米饭。帰り際、レジ…

停留場脇にて

平日は台東、荒川、墨田、足立の4区どこかを奔走する人生。遠方に出張などめったにない。今日も今日とて荒川区。去年まで居住していた区であり、かかりつけの肛門病院がある。荒川区の特徴のひとつは、やはり都電荒川線が都内唯一の路面電車(軌道路線)とし…

セクシー・ダイナマイト・アクション

晴天。冬の天気は安定している。昨日もゆりかもめを台場駅で降りると、例の自由の女神像の立つ広場やレインボーブリッジの背景は、涙ぐましいブルーの空だった。 裸でシャワーを浴び、蟻の門渡りにベビーパウダーを叩き込むと、午後2時半過ぎに外出。福建喫…

妖しい光線の美女

18日。横浜に排练(パイリェン・リハーサル)に行って、昼飯も食べそびれたというHさんに晩飯をつくらせるのも酷だから、上野で落ち合って中国料理店へ。ここの老板娘とHさんが知り合い。そういえば、いつだかニラレバとレバニラの話をテレヴィでやっていて…

福建喫茶

純喫茶としてネットでもけっこう取り上げられている店だが、今日初めて入ってみると、もはや純喫茶ではなかった。地元だけに店の前は頻繁に、それこそ2日にいっぺんくらい通るのだが、外から店内を窺い知れないつくりなので、ネットに載っている画像をみて、…

金海湾

13日。久々に気の置けない友人たちと午後2時から呑み食べ、そして語らい、すでに夜の8時半を廻った頃、痛飲の域にも達していたが、Hさんの状態がいよいよ気になり始め、浮き足立った。 というのも、朝から体調がすぐれない、とHさんがぼそり呟き、それでもパ…

何者

松浦寿輝『秘苑にて』(書肆山田)より 川勝徳重『電話・睡眠・音楽』(リイド社)。この表紙は表題作に関わるものだが、他にも13の短篇が収められており、それぞれに表題作とはかなり毛色の違う劇画だ。私にはむしろそちらの方がおもしろかった。いちばん好…

ザ・ヴェランダ

布引ハーブ園、ロープウェイ。施設の祖母の部屋で談話している時、母親が妙なことを云った。自分抜きで、祖母と私と弟の3人でハーブ園に上ったことがあるというのだ。祖母は、憶えてないと首を横に振った。近頃の祖母は弱って、ぼんやりもしているから、母親…

立ち漕ぎ

3日、晴天、風強し。年明けから尾籠な話になるが、2階の便所で『細雪』を読み進め、大水害(1938)のくだりまで来て、これは去年の倉敷真備町の光景を思い浮かべるような描写だなと思いつつ、用を足した。と、しばらく収まっていた痔核の脱出がまたぞろ始ま…

元旦、実家、柴犬の置物

元旦、実家。明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。柴犬の置物。非常に精緻に出来ているが、制作者は意外にも欧米人なのだと母親が云う。かえって日本犬の特徴をよくとらまえるのかも知れない。それと日本はとかくディフォルメしが…