川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

去兜风。

28日、朝。ヴェランダからふたりして豪雨を眺める。一晩中ルーフを叩いていたが、それが今もつづいている。チ、チ、チと隣りで舌打ち。階下に行き、とうもろこしとコーヒーの朝飯。とうもろこしにかぶりつく顔を批評し合う。

2時間くらい経った頃か、雨が弱まったのを見計らって約束のあるHさんが外出。壮年は蟄居してもよかったのだが、掃除機をかけていると頭の中がザワザワしてどうも落ち着かない。考えるべき事柄があるのに、それらが一向に整理つかない感じ。まあ、業界青年会のことなんだ。柄にもない役に就き、東京の新型コロナ感染者再拡大の折、調整したり、辻褄を合わせなきゃいけないことがある。要は考えたくないのだ。

こんな時は部屋にいたところでなにも捗らないし、ベッドに横臥したとてリラックスもできない。気分を転換する方法、さらに考え事に適した空間は経験則でわかっていた。すなわち、ドライヴ。クルマで高速を走りながら、音楽を流す。去兜风。これである。

給油し、後部にポリタンクとペットボトルを放り込む。尚仁沢まで行く。出発地から165km。この場合、それくらい必要だろう。

東北道に上がっても相変わらずの雨だ。隣り車線を走る大型トラックに接近すると、凄まじい水煙がフロントグラスに降りかかる。BGMがちょうど荒井由実の雨の歌曲だった。それが羽生PAのあたりで雨は止みかけ、空が明るみ、尚仁沢に至る頃には完全に止み、太陽光線が地上を照らし始めた。

f:id:guangtailang:20200629002645j:image帰り道、考え事をしていて林道に迷い込んでしまう。すると、視界がひらけてこの伐採現場があらわれた。

f:id:guangtailang:20200629002704j:image時間は少し遡り、尚仁沢はーとらんどの水汲み場。今日はさすが人が少なかった。出流原湧水と比べても、こちらは口が多いし、ドバドバ水が出ている。遊歩道の方はいまだ復旧ならず、立入禁止のまま。

f:id:guangtailang:20200629002719j:imageほんとうに清冽な水で、顔を洗いたいくらい。足も洗いたい。壮年はエチケットとしてやらないが、やってる人いそう。

f:id:guangtailang:20200629002730j:imageすぐにポリタンクに溜まる。このサイズでも満タンにすると持ち運びに剛力が必要である。

f:id:guangtailang:20200629002747j:image昼飯はダムカレー。食堂のおばちゃんによれば、本日最後の一食。今日は天気がアレなのに、よく出るわねー。たぶん、食材をあまり用意しなかったのだろう。

f:id:guangtailang:20200629002757j:image村野兄妹。はーとらんどは外に向けても有線を流しているのだが、ちょうど山下達郎の英語詞の歌曲が流れており、山間で聴くとその爽快さがまた格別だった。

f:id:guangtailang:20200629002810j:imageさっきの伐採現場を過ぎたあとの景色。基本、道路は舗装されている。

ただの一度も高速のSAやPAを使用せず、帰宅。本日、近距離で接したのははーとらんどのおばちゃんのみ。

兜风という中文はあんまりドライヴという感じが湧かないと思っていたのだが、《(船の帆や車のほろなどが)風をはらむ,風を受ける.》という動詞としての意味をみると、なるほどねと思う。