川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

丝绸之路②

久しぶりに気持ちのいい晴れ。Hさんは昨日池袋で髪型を整え、今朝1ヶ月ぶりくらいに西川口へ向かいました。Gは洗濯物を干すとそれ以上家事をする気にもなれず、デーツをむしゃむしゃかじりながら、おれも散髪に行くかと一瞬考えましたが、どうも気乗りがしない。おっさんだから髪型を整える優先順位が高くないのです。それでも青空に誘われるようにポロシャツを潜りリュックを背負うや外にまろび出て、行き先も決めずバイシクルに跨りました。

f:id:guangtailang:20200524124923j:image書斎の前面にある窓の庇を雨がびしゃびしゃと叩く。その音をなんとはなしに聞きながら、FANZA動画の中を渉猟している。ここ数日、夜はつねに雨降りのような気がします。『天使のはらわた 赤い淫画』(1981・池田敏春)の冒頭10分ほどを観て、めざましく記憶がよみがえってきました。これはGが初めて目にしたロマンポルノです。泉じゅんが炬燵の赤外線に染まりながら手淫する場面、女子高生がスキンの中に半熟卵を入れ、鉛筆で突きながら手淫する場面。黄身がとろりと鉛筆を伝わって。つかみはOKというか、今見ても十分エロティックですが、当時のGは衝撃を受けたと言っていいでしょう。新宿ベルプラザのツタヤで借りたのを覚えていますが、なぜこれを観ようと思ったのか、それについては今やはっきりしません。たぶん同じ監督の『人魚伝説』(1984)を先に観ていて、血しぶきに怯みながらもその悲壮美に打たれ、「天使のはらわた」という題に、さてはここにも何かありそうだと感じたのかもしれない。最寄駅の地下駐輪場にバイシクルを突っ込むと、ケーキ屋の厨房の脇を通り、地上へ。すぐにやって来た乗客もまばらな常磐線にGは滑り込みました。

f:id:guangtailang:20200524104947p:plain新疆ウイグル自治区のオアシス都市クチャで羊肉串にかじりつくひとびと。日本の男子高生みたいひともいます。『NHK特集 シルクロード』も第10集の「天山南路 音楽の旅」(1981年1月5日)に至りました。第9集では南疆鉄道を7輛編成の列車をチャーターし、ラクダも載せて走らせるなど、この番組づくりに関わったひとびとの熱情とスケールには感服せざるを得ません。当時はコルラまでも開通しておらず、まだ砂利の敷かれていない線路を慎重に走る場面があります。日中蜜月時代ですから人民解放軍も撮影に協力的です。また、年代的に彼我の経済格差にモノを言わせた部分もあったのでしょう。

f:id:guangtailang:20200523220734j:imageもう羊肉串が食べたくて辛抱たまらんという気持ちにGはなったのです。それで池袋のHさんに微信でメッセージを送りました。すると、新疆人が焼いている店を知っているらしいのです。即座に10本所望します。彼女が帰宅すると、早くも玄関にスパイスの匂いが漂う。彼に向かってまっすぐ差し出された紙袋を受け取り、なかの2つのビニルのうちひとつを破り、皿にあけました。そして、指で摘んでむしゃむしゃしてしまいます。それをHさんが見咎め、箸を使いなさいよ。はい。でもこれ、串から外してあるんだな。そうよ、串は次のお客さんに使うからって外したのよ。Gは最初木串を思い浮かべたのですが、そう聞くと、鉄串だったのでしょう。

f:id:guangtailang:20200524163316j:image久しぶりに大型のリアル書店に行き、7冊ほど買ったらいちまんえんを超えました。え、いちまいで足らんのかよ。急いで小銭を足します。文庫が全部いちせんえん超えてるし、消費税もいちせんえん超えてる。そうゆうご時世です。これでまた当分、大型のリアル書店に行くことはなかろうが。帰りの最寄駅、30代とおぼしき夫婦がベビーカーを押して横断歩道をこちらに向かってきます。すれ違いざま、女の方が咎めるような大声を上げたから、Gは肝を冷やしました。もう!! それ、ケーキが入ってるんだから、そんな風にしないでよ!とつづいたので、自分の夫に浴びせた言葉だった。