川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

服务员

19日深夜。枕元にパソコンを置き、「大海嘯~中国 銭塘江の逆流」をNHKオンデマンドで。1985年の作である。舞台は浙江省。後頭部をこちらに向けて横臥する女が、ボリュームを下げてくれろと言う。そりゃそうだな。ごめんなさい。

浙江省出身の女は勿論大海嘯を知っているが、この番組に別段興味を示さない。ただ、もし観たら言うであろう台詞はすぐに思い浮かぶ。こんな古い時代の映像の何がおもしろいのか。今の杭州は発展して、この当時とは全然違う。そんな風に言う。はて、1985年に女は何をしていたか。大人たちのあいだに滑り込むようにして、少女だった彼女は日本のテレビドラマ「赤い疑惑(1975~1976・中国題:「血疑」)に見入っていたはずである。山口百恵三浦友和、そして宇津井健の出演するあれである。

f:id:guangtailang:20200520104029j:image服务员(フウーユエン)。私が你好、谢谢、再见の次に覚えた中国語。

f:id:guangtailang:20200520104319j:image丁さんの歯の白さ。時々、中国人で驚くほど歯の白い人がいる。なぜだろう。たとえば、女の息子の婚約者小蕾もまた輝くように歯が白い。「中国嫁日記」の月さんもたしかそうではなかったか。丁女士の今いちばん欲しいものはカラーテレビだそうです、ナレーターが言う。

f:id:guangtailang:20200520104338j:image念のため、Wikipediaから引用します。

銭塘江の海嘯は「銭塘江潮」とも呼ばれる。中国語では「钱塘江大潮」であり、現在の中国語の「海啸」は専ら津波を指す。

朔か望のあとに発生することが多く、したがって太陰太陽暦の日付で1日から3日、および15日から18日ごろに発生する。とくに中秋節と重なる中国歴8月18日ごろの潮が古来有名であり、そのため、杭州では月餅を食べながら見物する伝統がある。

この現象は銭塘江の河口がラッパ状に開いていることや、その先に舟山諸島が点在し、潮流を複雑にしていること、さらに東シナ海では台湾海峡から流れ込む潮流のスピードが海峡の幅が狭まるにつれ強くなることが原因となって現れると考えられる。

f:id:guangtailang:20200520121922j:imagef:id:guangtailang:20200520121942j:image奥に見えるボトルはジョニーウォーカー黒ラベルだろうか。この時代には相当高価な酒だったと聞く。

f:id:guangtailang:20200520122004j:imagef:id:guangtailang:20200520122015j:imageこのあと海嘯にさらわれたいちにんがどんどん流され、岸壁の人らが木の幹を差し伸べるが、何度掴んでも離してしまい、なかなか這い上がれない。その様子をずっと空撮している。最後には半裸の男の腕につかまって引き揚げられる。

NHK特集「シルクロード ─絲綢之路─ 第7集 ~砂漠の民 ウイグルのオアシス・ホータン~」を同じくNHKオンデマンドで。  

f:id:guangtailang:20200520122136p:plain1980年のウイグル人が焼く羊肉串。羊肉串(ヤンロウチュアン)という単語もかなり早い段階で覚えることとなった。見ていると食べたくてしょうがなくなる。

f:id:guangtailang:20200520122208p:plainホータンはウイグル語で「玉の町」という意味らしく、ヒスイの産地らしい。ヒスイのことを古くは「玉」と呼んだ。羊肉の香ばしい匂いが漂ってきそうだ。

f:id:guangtailang:20200520122248p:plainうまいと思います。日本人が日本語でウイグル人に質問し、その内容を中国人通訳が中国語でウイグル人通訳に伝え、ウイグル人通訳がウイグル語でウイグル人に伝える。

観終わってパソコンを閉じると、傍らの女が目を瞑ったまま、時間が正しくないと実に不機嫌そうな声を出した。仰る通りだと思います。

f:id:guangtailang:20200522095132j:image『UNION ATLAS 総合世界/日本地図』(国際地学協会)