川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

1986年の女性プログラマー

10日夜。外は雨がびしゃびしゃ降っている。『いんこう』(小沼勝・1986)をFANZA動画で。「日活ロマンポルノ最後の看板女優」(Wikipedia)という呼び名に魅かれ、麻生かおりの主演作を初めて観る。【以下、ネタバレあり。役名では呼ばず、俳優の名で呼んでいます】

f:id:guangtailang:20200311115734p:plain昭和61年の女性プログラマーがパソコンに向かう。麻生さんは26歳の役を20代前半で演じているが、喋り方に妙な艶があり、役の年齢くらいに見える。ありていに言えば、大人っぽいということだろう。髪型が80年代を漂わせている。

f:id:guangtailang:20200311115840p:plain向かって右奥に映る16歳のパソコン少年と麻生さんのセックス、すなわち年上女性と未成年の淫行は、ロマンポルノを駆逐したと言えるアダルトビデオでも数多描かれてきたが、やはり『いんこう』のナラティブや画の出来は違う。ミニマルな話だから、予算の問題だけでもない。アダルトビデオでは誰しもつい早回しをしてしまうが、ロマンポルノは物語としてじっくり腰を据えて観る必要がある。左奥のプレハブ小屋が淫行の舞台。

f:id:guangtailang:20200311115913p:plain少年らしい熱っぽい邪気で靴を隠されてしまい、裸足だって帰れるんだからとアスファルトを歩く。すると、少年が追いかけてきて先回りし、靴を路上に置く。夜目にもくっきりと白い服、白い靴が浮かび上がる。

f:id:guangtailang:20200311115947p:plain奔放な姿勢、しなやかな肢体で少年を誘惑する麻生さん。少年らしい熱っぽい邪気で、プレハブ小屋の空調はオフにされている。ちなみに彼女はWikipediaによると、10歳から16歳までを父親の仕事の都合でシンガポールで過ごしている。だから、英語が流暢とのこと。それを知れば、劇中のどこかで英語の長台詞を喋ってもらいたかったと思ってしまう。

f:id:guangtailang:20200311120024p:plain少年らしい熱っぽい告白で、愛してると口走ってしまう。愛してるんだったら、足を舐めなさいと麻生さん。少年は従う。この後、一晩中、少年とやりまくる。やり疲れて腹が減り、少年が母屋に戻っておにぎりを握る微笑ましい場面がある。そして、おにぎりを頬張りながら、またいちゃつく。少年の母親はふたりの淫行を知りながら黙認しているようでもある。それどころか、少年の下着を洗う洗濯機の振動に合わせるように自ら自慰してしまう。

一方、少年のガールフレンドの同級生がいるのだが、この娘はアルバイト先の店長と夜な夜な淫行を繰り返している。マンションの階上からベランダに縄梯子をかけて娘のいる階に下りてくるおっさん店長。蜂蜜を使ったアブノーマルなプレイも実行する。ある夜、プレイが終わり、階上に帰宅しようとする際、縄梯子を踏み外し、墜落死してしまう。叫び声と落下音に娘がベランダから路上を見下ろし、けたたましい悲鳴を上げる。

f:id:guangtailang:20200311120240p:plain黙認しているようにみえた母親だったが、麻生さんの乗った路線バスを全速力で追いかける少年をよそに、警察に電話し、女性プログラマーを告発するだろう。

麻生かおりさん、「引退後の消息は不明。」(Wikipedia