Hさんが朋友からもらったお土産を全部ぼくにくれた。辣いものは食べないからと言って。浙江や福建出身者には辣いものを苦手なひとが多いが、彼女は特にそうだ。中国料理店でも「这个菜辣不辣?」と頻繁に訊き、出てきた菜(ツァイ)が予想よりも辣いとそのツァイはもっぱらぼくが食べることになる。別に残してもいいんだから。お腹痛くなるわよ、などと言う。
紫色の袋を開け肉片をかじると、これは到底Hさんの口に合うものではないのがわかった。しかし、ぼくは立て続けにふた袋を食べた。健康に良くなさそうな味道(ウェイダオ)がしたが、その手の食品によくあるようになにかしら後を引くものがあり、もうひと袋食べた。口腔がヒリヒリし始め、茶をがぶ飲みした。さらには小辣素肉串の袋もやぶり、ぱくぱく頬張った。配料(ペイリャオ)を見れば健康に良くないのは明白だったが、久方ぶりのジャンクな味道の誘惑に抗えなかった。午後10時頃のことで、反省しなければならない。
とはいえ利家超市は福州にあるんじゃないかしら。
袋の裏にも登場する青年。可もなく不可もない風貌で印象が薄い。
書斎の襖に貼り付けられたポスター。どうでもいいような話だが、この2作のあいだの時間(1971〜1988)に日活ロマンポルノがつくられた。上のポスターが視界に入るたび、接吻する男は実際に出演した広瀬昌助じゃなく、沖雅也なんだと思う。沖は撮影直後のオートバイ事故で負傷降板し、急遽オーディションで見出された広瀬が村野武範とともに主役を演じた。ポスターの入れ替えが間に合わず、それで沖は接吻で顔を隠しているのだ。
9月になってしまった。