川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

岬①

日・月、伊豆下田で遊んだ。数日前にホテルを予約し、それから天気予報とにらめっこだったが、毎日微妙に予報が変わるので困った。で、当日朝、東京は雨がぱらついていた。しかしそれもすぐに止み、半島を南下している頃には雲間から陽が射し、南国の蒸し暑さになった。

岬の先端に建つホテルは左右にビーチを有している。入田浜と多々戸浜という。我々の泊まった部屋からは下の入田浜が臨めた。

f:id:guangtailang:20190722204715j:plain時間を少し遡ると、順調に昼過ぎ下田に至り、さて飯を食おうとなった。道の駅開国下田みなとに調べていた店があったので向かうと、店の外まで行列ができている。どうしようかと一瞬思ったが、見ていると回転が早い。Hさんは店外のメニュー写真を眺めて海鮮丼にすると言う。おれはその名に惹かれ組合長定食に決めた。

f:id:guangtailang:20190722205012j:plain少々値が張るだけあって、組合長定食は立派だった。伊勢海老を惜しげもなく味噌汁に突っ込み、金目鯛の煮付もけっこうなボリューム。店の名にもなっているわけだし、さすが魚市場に併設されているだけのことはある。2,900円。

f:id:guangtailang:20190722204753j:plainホテルのロビーは吹き抜けになっており明るい。南国の樹木や咸臨丸の模型がある。実はここは高校生の時以来数十年ぶりなのだが、当時、サマーヌードした思い出がある。

f:id:guangtailang:20190722204849j:plainそして洞窟風呂も売りだ。専用エレベーターで地下4階まで下りると、湿り気を帯びた岩石の隧道が左右に伸びている。ここを通って先述のふたつのビーチにも行けるのだが、岩肌をフナムシがちらちら走り廻っているのを見たHさんが小さく悲鳴を上げる。別に怖いムシじゃないと笑い飛ばすが、夥しい数と、御多分に洩れずゴキブリに似た姿や動きが厭う理由だろう。

f:id:guangtailang:20190722205121j:plain明と暗のコントラスト。または暗から明へと連続した空間。ロマンポルノに使えそうな場所。

f:id:guangtailang:20190722205203j:plain海からの光や音や風を浴びる壮年。江戸城に使用する伊豆石を切り出した跡を利用しているのだという。

f:id:guangtailang:20190722205255j:plain入田浜の波と戯れたのち、ホテルに戻るべく濡れた砂の上を歩くHさん。

f:id:guangtailang:20190722205339j:plainプールサイドから多々戸浜を撮る。こういう断崖絶壁が好きである。従って、北茨城の五浦あたりも好きなのだ。

f:id:guangtailang:20190722205421j:plain夜、ひっそりとしたロビー。プールにファミリーが集結しているだけであんまり泊まっていないのかとも思ったが、翌朝8時の朝食会場はほぼ満席で、結局、プールで遊び疲れた子供が早寝してしまい、家族もそれに付き合ったのだろう。我々は大人なので、地下1階のゲームコーナーでエアホッケーを3ゲームやった。

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f:id:guangtailang:20190722222659j:plain部屋のベランダから海を眺める。微かに青黒い波の動きが確認できる。と、暗闇の向こうの一点がチカっと光り、薄いヴェールを投げ寄越すような弱い光もサッと届いた。その光の帯は横方向にぐるんと回転して、周期的に届く。チカっというのも。勿論、石廊埼灯台なのだった。

②につづく