川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

タイ古式マッサージ

f:id:guangtailang:20190310180220j:imageここ数日DVDを観過ぎたせいか首から肩にかけて凝りが酷くなり、タイ古式マッサージ店へ駆け込むことと相成った。行きつけの店がある松戸まで。ここのマッサージが強めで好み。常磐線の快速に乗ればすぐだ。駅からは少し離れているが、まあ徒歩10分圏内だろう。戸外の花粉が気にはなる。以前、仕事上で接したイタリア人女性が「わたしは徒歩15分大丈夫です」と流暢な日本語で云ったものだ。欧米の若者は意外と歩くのを苦にしないと、今までの人生で何度か思った。それはそれとして、古ぼけた雑居ビルの2階にあるサッシュの引き戸から顔だけ覗かせ、正面で箒を持っていた女性に「予約してないんですけど、今からいけますか?」と訊くと、「大丈夫。どうぞ」と招き入れられた。店内は一間で結構広く、奥のヴェランダまで見渡せる。左手に「いらっしゃいませ」と云っていそうな微笑で合掌するタイ女性の人形が立っており、その向こうに革張りのソファがある。ソファの前には小さなガラスのテーブル。その上には一輪挿しの花瓶。人形の反対側がスタッフの休憩室のようで赤や黄の果物がみえる。その後方にオレンジ色のカーテンで仕切られた施術スペースが3つある。ヴェランダの手前に観葉植物が置かれ、そのすぐ傍らに金色のゾウが2頭向かい合って飾られている。などと配置を説明してみたが、実はこれは店のサイトをみながら書いたので、もう5回も6回も訪問しているのに現在の店の様子が漠として定かでない。テーブルの上の花瓶が今は水を張った皿に浮かぶ花弁に変わりゾウがいなくなったような気がするが、それよりも人形が今立っているかさえ判然としない。でも、そんなことはさほど重要じゃないのだ。ただ薄暗い空間でTシャツとヒモが後ろについたズボンに着替え、天井のバーに掴まるタイ女性に躰をみしみし踏まれ、アクロバティックなストレッチではうんうん唸りながら、カーテン越しにスタッフ同士の喋る物柔らかなタイ語に耳を傾けていればよい。何を喋っているのかなあと想像しつつ微睡んでいればそれで充分なのだ。