川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

老虎からこんにちは!

f:id:guangtailang:20181211124408j:imagef:id:guangtailang:20181211124419j:imagef:id:guangtailang:20181211124425j:image引っ越しの日程が決まった。実家から机と本棚を持ってくる(そして現在の本棚を実家に置いてくる)手間も含め、約10万円。

夜な夜なクルマの荷室で運べるモノは自分たちで運んでいるが、やはり知れている。それとは別に、新居が事務所に行く途中の道筋にあるので、自転車の籠にモノを満載し、運ぶこともある。昼時、丈夫な袋に30冊程度文庫本を放り込み、その上にハルピンで買った老虎の置物を置くと、袋の口から老虎の頭と背中が露出してしまう仕儀となった。これをそのまま自転車の籠に乗せ、ハルピンには及ばない寒空の下を走ったら、老虎が、こんにちは!って挨拶をしているみたいじゃないか。気づく人は気づくだろう。残念ながら、老虎の下に中島敦の「山月記」は入っていないが、これはこれでユーモラスでよい。思い出すが、ハルピンの東北虎林園にも行ったのだ。アムールトラのでかさには度肝を抜かれた。中空に設けられた鉄のトンネルを歩いていると、服務員のおばさんが生きた鶏を引っ掴み、それを無理やり鉄柵の外に押し出すではないか。鶏は死を予感してぎゃーぎゃー鳴きながら必死に抵抗する。しかし、ついに鶏はアムールトラの屯する空間へと落下していった。次の瞬間、軽トラのサイズはある獰猛な集団が地響きを立て、一斉に鶏の地点へと向かった。ひとたまりもない。アムールトラの1匹がいち早く鶏を咥え、そして噛み砕いた。むしゃむしゃと顎を動かすと、何事もなかったようにその場から去った。土の上に白黒の羽根が何枚か落ちている。残酷だ、と勿論私は感じた。それと同時に、アムールトラに対し、畏怖の感情を強く抱いた。私はしばらくその場に立ち尽くした。その後、ガイドとの雑談の中で、この旅のあいだに是非とも老虎の置物が欲しいと私は訴えたのだ。

亀十のどら焼は昨今、ほんとうに並ぶので自分では買わなくなってしまったが、お客様から頂いた。寒空の下、並んでもらって恐縮する。Hさんも大絶讃だった。ところで浅草の似顔絵の店、入口にドナルド・トランプと馬雲(ジャック・マー)の戯画を掲げて、インバウンドの客にアッピールしているけれども、さすがに習近平じゃ無理なんだろうな。

5棟合わせて521戸のこの団地とももうすぐお別れだ。