川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

飯岡、波崎

痔の薬がもうすぐなくなる。症状はだいぶ改善されたが完治じゃないので、引き続き薬をもらいに行かねばならない。外は素晴らしい快晴だ。

クルマを走らせながら独り考え事をしたい気分で、行き先は特に決めていない。先日、ちばてつやひねもすのたり日記』(第1集 小学館)を読んでいて、作者が敗戦後の満洲から引き揚げ、父親の実家に世話になるのだが、それが千葉の飯岡だった。飯岡は現在の旭市(人口6万5千)に位置する。千葉北東部といえばすぐに銚子市が思い浮かぶが、旭市とか匝瑳市(そうさし 人口3万6千)には行ったことがないな、東関東自動車道だからさほど混まないだろう、距離的にも100km位でちょうどいいやと考え、Hさんが作っておいてくれたエビ炒飯を食べ、支度を始めた。

言うまでもなく車内は密室空間で、好きな音楽を流しながら信号のない道路を疾駆すれば、非常な気分転換になり、考え事をするのにも向いている。たまに奇声を上げても誰にも気づかれない。クルマのミュージックサーヴァーにジャズのピアノトリオや女性ヴォーカルが入れてあるので、それらを流しながら東関東自動車道をひた走った。

f:id:guangtailang:20181123173032j:image大栄パーキングエリアで休憩。コンビニでお茶とぬれ煎餅を買う。画面右上の青空にジョロウグモが浮いている。大栄インターチェンジで下りて、東総有料道路に乗る。有料道路というが、今年の春頃に無料になったらしい(開通から30年が経過し、料金徴収期間が満了したため)。

f:id:guangtailang:20181123173051j:image飯岡駅前にある銚子信用金庫海上支店。僕は最初、海上(かいじょう)支店、なるほど海が近いし、かっこいい支店名だなと思った。が、実際は「うなかみ」と読むらしい。

f:id:guangtailang:20181123173113j:image白亜の駅舎、飯岡駅待合室。

f:id:guangtailang:20181123173154j:plain刑部岬(ぎょうぶみさき)・飯岡灯台屏風ヶ浦の南端に位置する。この場所から太平洋のパノラマが見渡せ、「日本の夕陽百選」にも選ばれている。初めて来たが、駐車場に着いた瞬間、わおっと言いたくなる空間の広がり方だ。今日は快晴だから特に。

f:id:guangtailang:20181123173207j:imagef:id:guangtailang:20181123173217j:image岩井俊二のテレビドラマ(1993・映画は1995)のロケ地だというが、僕が高校生だか大学生の時だな。観たような気がするが。当時、岩井の『PiCNiC』(1996)や『FRIDE DRAGON FISH』(1996・テレビドラマは1993)、『スワロウテイル』(1996)などは結構真剣に追いかけていた。浅野忠信という役者を知ったのはこれらを通じてだ。

f:id:guangtailang:20181123173234j:imageこの画像ではわかりにくいが、右から伸びる台地の奥に筑波山のシルエットが望見できる。

f:id:guangtailang:20181123173252j:image穏やかな飯岡漁港。天気が良過ぎて、船や建物や自動車がミニチュアのようだ。富士山をもみることができるらしいが、今日は地平線に雲がたなびいており姿拝めず。

f:id:guangtailang:20181123173313j:imagef:id:guangtailang:20181123173328j:imagef:id:guangtailang:20181123173338j:image銚子市街をスルー、銚子大橋を渡り、茨城に入る。神栖市(人口9万5千2百)の波崎海岸砂丘植物公園。ここはまさに「さらば愛しき大地」といった風情の荒涼地方だ。ごみの打ち捨てられた海岸に人影はなく、遠くで風力タービンが廻転している。僕は砂地に佇み、渺渺たる風に吹かれている。現在に至るも、神栖「市内に線路はあるが、旅客駅はない」(Wikipedia)。

f:id:guangtailang:20181123173352j:imagef:id:guangtailang:20181123173401j:imagef:id:guangtailang:20181123173409j:imageこの風景、平成30年なのだが、昭和46年に撮られた石原プロ渾身の作『甦える大地』(1971)に出てきたものとあまり変わっていない。

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