川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

放擲

f:id:guangtailang:20180315235559j:imagef:id:guangtailang:20180316121914j:image3月に入ってすぐ読み始めた。が、まだ読み終わらない。とうとう誕生日まできてしまった。全287頁の小説だが、198頁までしか進んでいない。なにせ退屈だ。もう放擲する。

巧みな比喩を鏤めながら、巷間言われている「装飾体(美文体)」の文章がつるつると紙面を滑ってゆく。しかし、こちらはそれについていけない。それで毎回20頁も読まずに本を閉じてしまうのだ。作者がパペットを操る手つきにうそ寒さを感じて。久方ぶりに三島を読んでみて、やっぱり自分とは相性が合わないことを再認識した。

ところで、藤田敏八の2番目の奥さんがどこかに書いていたエッセイで、敏八は三島、自分は大江が贔屓だったみたいなくだりがあったが、敏八が三島というのはなんか意外な感じがした。三島原作の『愛の渇き』(監督・蔵原惟繕/1967/99分)を映画化する際、敏八が繁矢名義で脚本を書いたから、その時だけ集中的に三島を読んでいたのじゃないか。知らんけど。

【追記 2018.6.9】

今日、スマホに保存されている画像をスクロールしていたら、以下の文章を見つけた。藤田の2番目の妻、藤田靖子(ふじたせいこ)さんは1965年に結婚しているから、『愛の渇き』の脚本を書いている頃に、パキ(藤田)が三島ばかり読むというのはありうることだろう。f:id:guangtailang:20180609204709j:image