ハルピン市南崗区。高さ336m。2000年完成。スカイツリーに似ていなくもない。
塔内にぐるりと中国東北話を解説したフロアがある。この方言はおそらく東北三省(黒竜江省、吉林省、遼寧省)の限定された地域でしか通じないものだ。だから、観光地である龍塔にコーナーを設けている。みるとだいたいの東北話に「儿」の文字が龍のように躍っている。日本人の私がハルピン人に対して片言の東北話を使用すると、相手は笑い出す。なんだこのルベンレン(日本人)、ドンベイホア(東北話)知ってるぞ。
福原愛ちゃんの中国語が流暢なことはよく知られているが、彼女のそれはかなり東北訛りが強いという。それで、洗練された普通話を話す中国のアナウンサーが愛ちゃんにインタヴューした際、驚いたり、笑ったりする。たしか、愛ちゃんのコーチが遼寧省出身だったか、または愛ちゃんが卓球の超級リーグで所属していたのが遼寧省のチームだったか、或いはその両方かに因るものだ。現在は台湾人の夫と暮らしているので、東北訛りが徐々に抜けているかも知れない。
以前、Hさんに儿を多用した東北話で話しかけたことがあるが、きょとんとしていた。逆に彼女が親族を相手に使用する方言は普通話とまるで違って、少しも聞き取れない。南方方言だから「儿」は使わない。最近私もやっと、「大概(ダーガイ)」を「ダゲレ」と発話することを覚えた。彼女は上海語も少し喋れるが、福建人の朋友が福建語で話すと何もわからないという。広東語も全然わからない。ことほどさように中国の方言はそれぞれのひらきが大きい。漢字は共有しているのにね。
*儿化(アル化)とは、中国語において「儿」という接尾語を付加することである。北京語、東北話等で頻繁に使用され、普通話にも取り入れられているが、南方地域では使わないところも多い。