川の照り

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

先生の変態

【2020・令和2年1月31日に考えた谷崎潤一郎著作、私のベスト10(年代順)】 1.「饒太郎」(1914・大正3) 2.「秦淮の夜」(1919・大正8) 3.「富美子の足」(1919・大正8) 4.「途上」(1920・大正9) 5.「蓼喰ふ虫」(1928~29・昭和3~4) 6.「…

双眸

根津仁香(じんか)著『根津甚八』(講談社)読了。 11月27日の雑記で根津甚八について触れたが、その後どうしても彼のことが気になり、古書で購入し、一気に読んだ。妻が書いた夫の伝記。さまざまな病を患った末、ほとんど外出もしなくなった根津に妻が自伝…

猫の額

家の向かいの建売住宅の工事が終わりに差し掛かっている。木造3階建だから工事期間中も不快になるほどの騒音や振動はなかった。前面の狭隘道路にトラックが停まりぱなしになるのは鬱陶しかったが。この建売の右隣りに古ぼけた木造2階建の家屋があり、昔から…

中国結び飾り

気がついたら2月か。福建喫茶にこれだけ通っていると、だんだんママの事情にも通じてくる。微信で繋がってモーメンツもみられるからなおさらだ。それはそれとして、彼女は午前11時半より前には店にいないことが多い。代わりにというか、50絡みの中国人の男が…

潜り抜けて

29日夜。対面し、それぞれの文章を読む。Hさんは仕事の何か、私は「蘆刈」(岩波文庫『吉野葛・蘆刈』所収)。 こっちは『猫と庄造と二人のおんな』の注解(新潮文庫)。谷崎が『源氏物語』の現代語訳をやっていた時に唯一書いた小説。女優の本上まなみが薦…

妖しい光線の美女

18日。横浜に排练(パイリェン・リハーサル)に行って、昼飯も食べそびれたというHさんに晩飯をつくらせるのも酷だから、上野で落ち合って中国料理店へ。ここの老板娘とHさんが知り合い。そういえば、いつだかニラレバとレバニラの話をテレヴィでやっていて…

何者

松浦寿輝『秘苑にて』(書肆山田)より 川勝徳重『電話・睡眠・音楽』(リイド社)。この表紙は表題作に関わるものだが、他にも13の短篇が収められており、それぞれに表題作とはかなり毛色の違う劇画だ。私にはむしろそちらの方がおもしろかった。いちばん好…

元旦、実家、柴犬の置物

元旦、実家。明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。柴犬の置物。非常に精緻に出来ているが、制作者は意外にも欧米人なのだと母親が云う。かえって日本犬の特徴をよくとらまえるのかも知れない。それと日本はとかくディフォルメしが…

餃子活動

30日、晴天。冬らしい凛冽な空気に頬を冷やされながら、西川口へ。Hさんの仕事仲間の餃子パーティ(饺子活动)があるというので便乗。普段全然乗らないが、京浜東北線の快速って日暮里停まらないのだった。それを失念したおれが日暮里のプラットフォームでH…

お引っ越し

昨日、中古戸建の引渡しを受けた。といって、今住んでいる部屋の解約届もまだ出していない。すでに12月中旬に差し掛かり、いくつか忘年会も入っている中で、諸々手続きや待機が要るので、一個一個のんびり処理していこうと思っている。今日は紅いシクラメン…

間宮林蔵

関東平野のただなかにある間宮林蔵記念館に行く道はこんなです。最寄り駅はJR取手かTX線守谷のようですが、いずれにしてもバス便のよう。 記念館専用の駐車場には僕のクルマを入れて4台が駐まっているのみでしたが、そのうち2台はナンバーから推して館の職員…

橋場今昔

『加藤嶺夫写真全集 昭和の東京2 台東区』(川本三郎・泉麻人 監修 deco)。昭和40年代、今から50年近く前に撮られた写真で、私もまだ生まれていないが、この頁を開いてしばらく眺めていると、あそこかなとめぼしがつく。私が高校生まで育った台東区北東部の…

ダブり買い

もう11月か。今日は1年のうちでもそんなに多くない、一片の雲もない清々しい空だった。昼時、ヴェランダ近くにしゃがみ込み、青空を眺めながら座薬を挿れた。内痔核の症状は大分マシになってきている。明日も天気は良いようなので、混むだろうが紅葉を見に行…

鳴子峡へ行きたしと思へども

萩原朔太郎の随筆をKindleで読む。99円。 昨年の秋だったか、おととしの秋だったか記憶が定かじゃないが、友人のSが仕事がらみとはいえタイミングばっちりの時期に鳴子峡の紅葉を訪れ、写真をツイッターにあげているのをみて、錦繡の断崖に目を奪われた。ま…

宵寝

昨日は昼職場にいる時から躰がだるくて、帰宅後、飯を食ったあと宵寝した。2時間ほどして起き上がると、だいぶ恢復している。やっぱり眠るのがいちばんだな。 大学の先生らが執筆した『東アジア海域に漕ぎだす3 くらしがつなぐ寧波と日本』(東京大学出版会…

浮遊感覚

《藤田敏八略歴》(KINENOTEより) 「【同時代の空気を青春映画に刻み込む】朝鮮・平壌で生まれ育ち、終戦とともに三重県に引き揚げる。東京大学仏文科在学中は演劇活動に熱中し、俳優座養成所にも通った。本名は繁夫で、1968年までは“藤田繁矢”名義で脚本・…

ひとの基底

土曜日の午後。肌寒く、いつ降ってきてもおかしくない空模様。23区西部に住むK夫妻と丸千葉。この名店の誉れ高い居酒屋は僕の地元にあり、ふたりはわざわざ足を運んだかたち。といって、夫妻はもとより僕も暖簾をくぐるのは初めてなのだ。Kたっての希望で…

懐かしい

越のむらさき、先月末の長岡行で2本買ってきたのは東京に売ってないだろうという頭でしたが、御徒町の吉池地下スーパーにあっさり売っていました。灯台下暗し。そりゃ吉池にはあるわよね。湯島天神、泉鏡花の筆塚。「高野聖」くらいしか読んだことないです。…

「空の怪物アグイー」

長篇小説は繰り返し読んだりほとんどしないが、50頁くらいの短篇小説で2回、気に入って8回くらい読んだやつはある。最初学生の頃に読んで、その後忘却していた小説を何かのきっかけで想起し、本棚の奥から文庫本を引っ張り出してきて、働くおっさんになって…

「わびしさ」について

特定の167頁。 北とぴあの空中回廊。2007年11月撮影。 「東十条の女」。いいタイトルだな。そこはかとないわびしさが漂っていて趣きがある。私は東十条駅で下車したことはないが、王子と赤羽のあいだにある、東京北部の駅だということは知っている。素子さん…

早熟

ツンドク。白い紙の断層。そのうちの1冊を昨日今日でやっとこさ読んだ。 任意の45頁。 この人はデビューして間もないようだけど、Wikipediaの頁が謎の充実をみせている。それに拠ると、「高校1年の時には、図書室で泉鏡花の『外科室』を原稿用紙に書き写し音…

放擲

3月に入ってすぐ読み始めた。が、まだ読み終わらない。とうとう誕生日まできてしまった。全287頁の小説だが、198頁までしか進んでいない。なにせ退屈だ。もう放擲する。 巧みな比喩を鏤めながら、巷間言われている「装飾体(美文体)」の文章がつるつると紙…

1:46

2008年2月11日、身延山久遠寺。菩提梯(石段)を上から。高低差104m、287段。今なら途中2回くらい休憩を挟まなければ、この太り肉の軀では登り切れない。苔に掌を置いている場合じゃない。 2017年11月20日、昨日読み終えた榎本泰子『上海 多国籍都市の百年』…

八重洲ブックセンター

晩秋にふと牛タンが食べたくなり、東京駅八重洲口まで繰り出す。牛たん定食1.5人前を塩で。久しぶりに食べるとうまく、米を大分おかわりしてしまった。その後、八重洲ブックセンターへ。ここはリアル書店としては屈指の品揃えで、そんじょそこらの商業施設の…

蟄居

昼。いよいよ雨の降り激しく、徒歩2分の投票所まで往復するだけで靴の内部が浸みる。もう今日は一歩も外に出ない。ソフトバンク対楽天でも観ようと思う。天気予報によると、Hさんの澳門行は絶妙に台風が去ったあとだな。『名誉と恍惚』は577頁まできた。

雨読

昼。辞書みたいに厚いから重くて嵩張るのに、読み始めたら止まらなくなって事務所にまで持ち込んだ『名誉と恍惚』(松浦寿輝著・新潮社)。221頁を読み進めているが、765まで頁が振ってある。まあ時間はかかるにしても苦労とか忍耐とは無縁に読了できるだろ…

コンセプチュアル

2016年12月10、11日。仙台の夜景、朝景。ビル群の隙間に規模の大きいことで知られる駅前ペデストリアンデッキも見える。政令指定都市だから比べるわけでもないが、先日行った浜松と比べるとビルの建ち方がみっちりしている感じがする。 ビートたけしの書き下…

久々の小説

久々に読書した。それも小説を。装幀と題名が好みだったから。第157回芥川賞受賞作だという。単行本で100頁にも満たないのですぐ読める。まあまあの中編小説をひとつ読んだなという感じ。文章はうまく、38の年齢のわりに燻し銀の趣き。魚釣りや日浅の人とな…

挽歌

2013年9月22日、釧路。この時はまだ読んでいなかったが、のちに読んだ釧路を舞台とする小説、原田康子『挽歌』には驚かされた。1956年初版発行だからもう60年も前の、言ってみれば「昔の小説」なのだが、古さを感じさせない。勿論、携帯やらLEDやらカーナビ…

活字に触る

最近、一冊の本を通読するような読書をしていない。しかし、活字には触れている。網膜が触れまくっている。