川、照り映え

隅田川沿いに住む壮年が綴る身辺雑記

映画

別人

日活ロマンポルノ『闇に浮かぶ白い肌』(1972・西村昭五郎)をDVDで。これは10数分に1回濡れ場があれば何を撮ってもいいことを利用したサスペンススリラーである。雰囲気たっぷりで、わりとしっかりつくられており、安っぽさは目立たない。個人的に好きな作…

蹉跌

『青春の蹉跌』(1974・神代辰巳)をDVDで。世評が高いのは知っていたが、観たことはないと思っていた。しかし、いざ観てみるとかなりの部分が記憶に残っており、たぶん学生の頃に観たことがあるのだった。70年代前半の空気が濃厚に漂っており、あまりに70年…

フラジャイル

7日、本格的な寒さ。止みそうで止まない雨。午後2時過ぎに仕事を終え、帰宅。来週に向けて考えをまとめるため、机上にノートとボールペンを出すが、少しもまとまらない。重ね着してころ柿をかじっているだけで、脑子不工作了ということ。だからペンもついに…

傍若無人

『颱風とざくろ』9~10話。監督は樋口弘美。園井からプロポーズされているが、石坂がどうにも気になってしまう松原。一方、石坂は園井に面会し、シルクロード探検そっちのけで松原から手を引いてくれと頼む。ありていにいって三角関係なのだが、このおもしろ…

69年

【以下、ネタバレあり。尚、役名では呼ばず、俳優の名で呼んでいます】『颱風とざくろ』5~8話。緒形拳が谷川岳で死に、松原智恵子の初恋は終わった。あれから1年。彼女は髪をバッサリ切ってショートになり、テレビ局の新人アナウンサーとして働いている。こ…

昭五郎のドラマ

【以下、ネタバレあり。尚、役名では呼ばず、俳優の名で呼んでいます】 『颱風とざくろ』3、4話を観る。この2話の監督は「ロマンポルノの職人」西村昭五郎。先に言ってしまうと、緒形は4話の後半、谷川岳で転落死する。松原が大学生の男らのひとりに同伴喫茶…

繁矢のドラマ

日活・日本テレビ制作のテレビドラマ『颱風とざくろ』(1969)をDVDで。全13話のうち9話を監督した藤田繁矢は藤田敏八の前身というか別名である。以前から観たかった昔のドラマのひとつだが、このたびDVD化されたので即座に買って、第1、2話を観た。原作は石…

横須賀男狩り

日活ロマンポルノ、『横須賀男狩り 少女・悦楽』(1977・監督 藤田敏八)をDVDで。2度目。70年代の横須賀が舞台で、舶来的な雰囲気がいいんですね。海がそんなに映るわけじゃないんですが、米兵がいたり、彼ら向けのディスコやバーがあったり、軍艦が鎮座し…

キャリアウーマン

昨夜半から明け方にかけてすごい雨だった。ベランダの庇を叩く雨音に目が覚めてしまうほど。日中、雨は弱まったが躰がだるいので終日蟄居する。にっかつロマンポルノ、『ベッド・パートナー』(1988・監督 後藤大輔)をFANZA動画で。この映画についてはAmazo…

薄明

にっかつロマンポルノ、『人妻暴行マンション』(1985・監督 斉藤信幸)をFANZA動画で。題名から想像されるようなハードヴァイオレンスな描写はない。外部(第三者)からの深刻な介入や打撃のない、その意味ではむしろほのぼのしたミニマルな夫婦生活が描か…

青春のうしろ姿

1980年代半ば、極楽寺駅附近にあるアパートの一室。じゃらじゃらとぶら下がった玉暖簾。70~80年代を切り取ったロマンポルノにはよく出てくる。私が幼少の頃にも両親が取り付けたやつがあったと記憶するが、最近はほとんど見かけない。とはいえ、地方の山間…

堂々たる蓮っ葉

にっかつロマンポルノ、『黒い下着の女』(1982・監督 斉藤信幸)をFANZA動画で。秀作。ところでMovie Walkerも映画.comもそうなのだが、記載されているストーリーと実際の内容が違う。特にラストが。この映画に限らず、ロマンポルノでたびたびそうである。…

ジュリー

昔、一度観たきりの『炎の肖像』(1974・監督 藤田敏八、加藤彰)をDVDで。ジュリーは私の親世代のスターなので全盛期をリアルタイムで見ておらず、格別の思い入れがないせいか、最初に観た時はところどころ挿入されるライブ映像が正直鬱陶しかった。同時期…

烏の濡れ羽色

『道頓堀川』(1982・監督 深作欣二)をDVDで。前回観たのは15年くらい前だ。だから内容はほとんど忘れてしまっていたが、山崎努の烏の濡れ羽色のような撫で付けられた髪と、結末のあっけにとられた感触は記憶に残っていた。私がまだ20代だったあの頃から、…

中島葵の映画

日活ロマンポルノ、『OL日記 濡れた札束』(1974・監督 加藤彰)をDVDで。凡庸な作品だと思うが、70年代の匂いがぷんぷんする映画。時制をいったりきたりするが実直な筋運びで、70年代を撮りまくった藤田敏八のような洒落っ気や気分で筋が停滞するようなこと…

剝ぐ!

梅雨ですなあ。にっかつロマンポルノ、『美姉妹 剝ぐ!』(1985・監督 上垣保朗)をFANZA動画で。小田かおると赤坂麗のダブル主演で、前者が妹役、後者が姉役である。それにしても「剝(は)ぐ」というのはおもしろいが、別に「剝(む)く」でもいいと思う。…

台風の下でじっとりと

にっかつロマンポルノ、『待ち濡れた女』(1987・監督 上垣保朗)をFANZA動画で。ロマンポルノは88年の6月で終了するので、これはその掉尾を飾ったといって過言でない秀作。設定がいいんだろうな。静岡の山間の古民家に住む女。その一帯に台風が接近し、つい…

さみしさと海

自動ドアがうぃーんと左右に開くとそれにつれてタイトルバックがあらわれる。そしてドアが中央に向かって閉じていくとタイトルも消えていく。『ダイアモンドは傷つかない』(1982・監督 藤田敏八)をDVDで。観るのは3度目くらいか。【以下、ネタバレあり。役…

或る土曜

午後2時。仕事を切り上げ、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019・監督 マイケル・ドハティ)を観るためTOHOシネマズ錦糸町楽天地に向かう。しばらく工事をしていたが、曳舟駅が小綺麗になって新しいテナントがいくつか入っている。たとえば大阪王将…

コキュの屋上でする壁当て

『ダブルベッド』(1983・監督 藤田敏八)をDVDで。観るのはもう3回目くらいだが、前回観たのはだいぶ前だ。あらすじはいちばん下をみて頂くとして、この映画の岸部一徳と柄本明は30代半ばで演じているので、現在のおれよりかなり若くて、80年代初頭の風俗と…

砂漠としての郊外

にっかつロマンポルノ、『少女暴行事件 赤い靴』(1983・監督 上垣保朗)をFANZA動画で。これはユーザーレビューが優れているので、私がなんとか云って屋上屋を架してもしょうがない。劇中の台詞もかなり磨き上げられていると思う。 監督の上垣保朗さんは今…

天嶮の漢たち

『ココシリ』(2004・監督 陸川)をDVDで。4、5年前に観て今回2度目だったが、またもや圧倒された。途方もない自然の中で、あまりに生死の近接した漢たちのドラマが進行する。映画は90分程に収まっており、私はパソコンの小画面で観たが、ほんとうはテレビで…

艶めかしい鞏俐

『菊豆』(1990・監督 張藝謀、楊鳳良)を大陸版DVDで。1920年代の中国内陸部の小鎮が舞台。鞏俐(コン・リー)が20代半ばで菊豆を演じている。ひたすら彼女ばかりに見惚れる映画。冒頭の15分くらい鞏俐は喋らず、染物屋の禿げおやじ金山に折檻され、悲鳴を…

青紅

『青红(チンホン・別題〔我十九〕 邦題〔シャンハイ・ドリームズ〕)』(2005・監督 王小帅 ワン・シャオシュアイ)を大陸版DVDで。ジャケットにも“第六代”と書いてあるが、王小帅は贾樟柯(ジャ・ジャンクー)や娄烨(ロウ・イエ)と同世代の扱い。【以下…

いなたさの記録

帰国してから観たにっかつロマンポルノ、『女子大寮VS看護婦学園寮』(1984・監督 斉藤信幸)をFANZA動画で。何がVSなのかはよくわからない。寮同士で対決などしていない。女子大生と看護実習生は出てくる。【以下、役名では呼ばず、俳優の名で呼んでいます…

ひこうき雲

にっかつロマンポルノ、『母娘監禁・牝』(1987・監督 斉藤水丸)をFANZA動画で。個人的な話から始めると、小学校の中学年から近所の学習塾に通い始めた。民家の2階を改造した教室に生徒が詰め込まれ、7、8人も座ればいっぱいだったと記憶している。講師はそ…

東側、ダークネス

Vシネマ、『イーストサイド・ワルツ 悦楽の園』(1998・監督 武田一成)をDVDで。イーストサイドっていうのは、つまり隅田川の東側らしい。僕は隅田川の西側のへり、川沿いで育ったからしょっちゅう東側に橋を渡っていた。冒頭のタイトルバックに映る吾妻橋…

断崖とターゲット

にっかつロマンポルノ、『愛欲の標的』(1979・監督 田中登)。標的はターゲットと読ませるようだ。凡作。騙し騙され、男と女の腹の探り合いなのだが、なんだかテレビのサスペンスドラマをややエグくしたような薄っぺらさで、私はサスペンスに優雅さや重厚さ…

融通無碍

10日。冷たい雨。今日に限っては東京がモスクワより寒いという。最近は川沿いをウオーキングすることもなくなり、日活(にっかつ)ロマンポルノばかり視聴しているから、「川の照り」というよりも「ロマンポルノに照り濡れて」といった様相なのだが、そもそ…

窃視と奔放

日活(にっかつ)ロマンポルノ、『のぞき』(1983・監督 武田一成)をFANZA動画で。狭山が舞台のへんてこなファミリーピーピングストーリー。【以下、ネタバレあり。役名では呼ばず、俳優の名で呼んでいます】 茶畑の中を走るタクシー。井上麻衣が彼氏を振っ…